犯罪・刑事事件の解決事例
#建物明け渡し・立ち退き

【明け渡し】大家さんから突然の明渡し請求をされた例

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片野田 志朗 弁護士が解決
所属事務所東京中央総合法律事務所
所在地東京都 中央区

この事例の依頼主

50代 男性

相談前の状況

駅地近くの雑居ビル1階の1室を借りて、20年前から飲食店を経営しておりました。しかし、賃貸借契約期間を半年残したところで、大家さんから、突然、更新しないので明け渡してほしい旨の通知がきました。理由は本件ビルは築35年経っており、老朽化で建て替える必要があるとのことです。長く地元で店をやってきたので常連客も多くおり、この場所を移転することなど考えられません。大家さんの通知にしたがって、今すぐに移転先を探さなければならないのか、途方に暮れ、弁護士さんに相談しました。

解決への流れ

ご依頼者様は、大家さんから現在の賃貸借契約期間の満了をもって更新しないと言われたら、無条件で出ていかなければならないと思っていたようです。通常、期間のある契約は期間満了で終了しますので、そのよう思われても無理はありません。しかし、賃貸借契約については他の契約と違い、大家さん側に契約を終了させる正当な事由がない限り、更新されることが原則となっております。したがって、まずは、ご依頼者様が、大家さんに対し、賃貸借契約は更新が原則なので終了させさる意思がないことを回答するように助言しました。

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片野田 志朗 弁護士からのコメント

賃貸人(大家さん)が、自己の都合で賃貸借契約を終了させようとする場合、賃借人の合意がない限り、上記のとおり、正当事由が必要となります。これは、弱い立場にある賃借人を保護するために更新を原則とし、終了させたいとする賃貸人に正当事由の立証責任を負わせたものです。本件では建物の老朽化による建替えの必要性が正当事由を満たすかが問題となります。もし、正当事由が不十分である場合には、これを補完するものとして立退料の支払いがさらに問題となってきます。本件では調査の結果、立替えが必要な程の傷みはありませんでした。私が大家さんの代理人弁護士にその旨伝えますと(私がご依頼を受けて窓口となってから、相手方にも弁護士がつきました)、ビルの老朽化もさることながら、これを機に、再開発をもくろむ大手の不動産会社に本件ビルを売るために、店子を立ち退かせたいことがわかりました。こうなると、正当事由はほぼないことになるので、補完する意味での立退料をより多くもらって出ていくか、あるいは、本件建物内で1店舗となったとしても立ち退かないで営業を続けるかです。ご依頼者様と相談をしたところ、飲食店の営業を本件地域で続けられれば本件建物には拘らないとのことでしたので、代替物件を探すために十分な明渡期間(1年間)と数年分の営業利益等から算出した十分な立退料を条件に明渡交渉をすることとなりました。大家さん側は、再開発のスケジュールに縛られて少々焦っているようでしたので、当方は、あせらず裁判も辞さない態度をとりながら、できるだけ有利な条件を引き出させることにしました。結果として、当方が想定したとおりの高額な立退料を支払うことを条件に明け渡たす合意をすることができました。大家さんから、賃料不払いなど自分の落ち度を原因としてではなく、契約期間満了により立ち退きを請求された場合は、「期間満了だから」との理由で当然出ていかなければならないと思っている方は多くいらっしゃいます。本件も、私にご相談頂けなければ、何らの金銭を貰うことはなく、期間満了と同時にただで明け渡して終わることも十分あり得ました。もし、大家さんから立ち退きを請求された場合には、立退理由云々を考える前に、すぐに専門家である弁護士にご相談下さい。ご相談は早ければ早いほど、よりよい結果になる可能性が高くなります。