犯罪・刑事事件の解決事例
#詐欺

600万円の雇用安定助成金の不正受給で執行猶予を獲得した事例

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秀﨑 康男 弁護士が解決
所属事務所福岡フォワード法律事務所
所在地福岡県 福岡市中央区

この事例の依頼主

30代 男性

相談前の状況

ご相談者は、自身が経営する法人の従業員について、従業員が、休業した事実も休業手当を支給した事実もないのに、これらがあるように偽って、労働局に雇用安定助成金の支給申請を繰り返し、合計約600万円の助成金を不正受給したとして、詐欺罪で警察に逮捕されました。

解決への流れ

ご依頼後、勾留請求の却下や勾留延長請求の却下、保釈請求などの身柄解放活動を何度も行いましたが、事案の悪質性や関係者が多かったことから、罪証隠滅のおそれの要件をクリアできず、釈放されないまま公判を迎え、結審しました。労働局に対し、だまし取った雇用安定助成金を返還することを弁護方針としましたが、上記の通り釈放されなかったために金策をすることができないままに結審を迎え、判決宣告日を言い渡されました。結審後に再度の保釈請求が何とか認められ、判決まで2週間という時間がない中で、なんとか金策して被害弁償することができ、弁償の証拠を提出するために判決宣告日に弁論の再開の請求をし、判決期日は延期となりました。結果的に、無事に執行猶予判決を獲得することができました。

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秀﨑 康男 弁護士からのコメント

詐欺罪は、証拠関係も複雑で、かつ関係者も多いことから、なかなか身柄解放活動が奏功しない犯罪類型です。詐欺罪は財産犯なので、やはり金銭的な被害回復、すなわち被害弁償が効果的な弁護活動ですが、被疑者本人が外に出ないことには、弁償に充てるお金を作ることが難しいことがあります。他方で、公判が結審したあとは、すでに証拠調手続は終わっていますので、保釈請求が通りやすいです。そこで、結審後に保釈請求をし、裁判所に対し、弁論の再開を認めてもらうことで、弁償の証拠を提出し、被害弁償を踏まえた弁論を述べることが可能になります。本件のように、弁護人は、判決言い渡し日まで諦めることなく、被疑者が被害者に対し、被害弁償ができるよう諸々の準備をして対応していく必要があります。