この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
ご相談者の娘様が,高校の下校時に,最寄り駅の改札付近で,盗撮の被害に遭われ,翌日から最寄り駅を利用することが不安となってしまい,ご両親が異なる駅まで送り迎えを行うことを余儀なくされていました。被疑者は,当日に現行犯逮捕されたそうですが,ご相談者の娘様としては,同じようなことが起こるのではないか,被疑者が駅にいるのではないかが不安で,どうしたらよいかがわからず,相談されたそうです。
解決への流れ
1 受任後の対応まず,弁護士から,被疑者側の弁護人に対して,被害者側の代理人として,弁護士が本件の窓口となることを通知しました。その後,弁護士から,①被害者自身の精神的な損害を回復するための慰謝料の支払はもちろん,②両親が対応を余儀なくされている駅までの送り迎えについての損害相当額の支払い,③被疑者の生活環境の説明や,④警察に押収されている他に残されている画像データ等があれば,それを削除することなどを申し入れました。そして,被疑者側に対して,被害者が求めている内容に誠実な対応がなされれば,被害者側から,検察庁に対して,被疑者が更生し,適正な社会復帰を果たすことができるよう,相応の処分がなされることを求める申入れを行う用意があることを伝えました。2 得られた結論被疑者の弁護人との協議を繰り返し行い,被疑者から,盗撮行為に対する謝罪金として,金60万円を受領したうえで,被害者が求める誓約事項を遵守することを約束させることができました。
被害者の方々には,突如,加害者の弁護人から,「○○万円を支払うので,示談に応じて欲しい。」「○○万円が相場なので,被害弁償の合意書にサインをして欲しい。」という連絡が来て,対応に迫られることが多々あります。ご相談者の方は以前に別件で弁護士を依頼したことがあったそうで,加害者の弁護人から連絡があるより前に,ご相談に対応することができたため,お話し合いの当初から,被害者側の代理人弁護士として,一方的な加害者側の提示に従うことなく,被害者側の求める事項を合意書に設けたうえで,合意をすることができました。被害弁償ないし示談金額の増減ということだけではなく,どのような誓約事項を合意書ないし示談書に設けるかも重要ですので,もし,加害者側の弁護人の提示に疑義を感じられた場合には,ご相談で対応できることもありますので,被害者側の代理人も担当している,もしくは被害者側を専門に担当している弁護士に相談してみると良いと思います。