犯罪・刑事事件の解決事例
#賃料・家賃交渉

被相続人が所有している土地を相手方に低額の賃料で貸している場合に,相続人が新たな賃貸借契約の締結(賃料の改定)を主張し,認められた事例

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鈴木 謙太郎 弁護士が解決
所属事務所虎ノ門法律経済事務所池袋支店
所在地東京都 豊島区

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

被相続人Aさんは,所有している土地を,息子が代表取締役を務めるY会社に,周辺の家賃相場が1ヶ月約3万5000円であるのに,権利金もなく,賃料1ヶ月1万円,期間10年の約定にて貸しており,Y会社はその土地上に事務所を建設しました。本件土地の賃貸借については,賃貸借契約書がありましたが,筆跡から賃貸人,借主欄の署名が同一人であるといえ,偽造された可能性があるものでした。そして,Aさんが亡くなり,本件土地を相続したXさんは,本件土地について賃料の増額を求めるとともに,きちんとした賃貸借契約書を作成したいとのことで,当事務所に相談に来られました。相談に来る前に,相談者XさんがYさんに対して賃料の増額を求めても,それに応えることはなく,賃料の増額はできませんでした。相談後,書面においてY代理人弁護士と交渉を重ねたものの,両者の合意はできず,Yが調停を申し立てたことから,調停での争いとなりました。

解決への流れ

当事務所が,次のように解決させていただきました。①本件土地については,賃料が相場や固定資産税に比して低額であること,契約時の当事者が親子であったこと,賃貸借契約書が偽造された可能性があることから,賃貸借契約ではなく,使用貸借契約であるとの主張が可能であるから,本件は賃貸借契約を前提とした賃料増額請求ではなく,新たな賃貸借契約締結及び権利金の支払いの必要があるとの主張が可能であること。②仮に,AY間の契約が賃貸借契約であったとしても,無断使用の部分があり,権利金の支払いもなされていないので,新たな賃貸借契約締結及び権利金の支払いの必要があるとの主張が可能であること。本件では,契約当時親子であったことから,権利金もなく,低額で賃貸借契約が締結されたものといえますので,賃料の増額を主張し,新たに賃貸借契約書を作成することが将来の紛争を防ぐ点でも必要であり,交渉及び調停を受任しました。受任前に,相談者が相手方に賃料増額を求めても,それに応えることはなく,強硬な態度でした。さらに,賃貸借契約においては,信頼関係に基づく継続的契約であり,従前の賃料が増額されることは,難しいとされていますが,本件調停で上記主張をした結果,調停において当事者が合意し,調停調書により,従前の賃料の3倍である賃料1ヶ月3万円,期間20年の約定で土地賃貸借契約書が作成されました。

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鈴木 謙太郎 弁護士からのコメント

賃貸借契約の賃貸人においては,賃料を増額したいとお悩みになることも多いと思います。賃貸借契約は,信頼関係に基づく継続的契約であり,従前の賃料が増額されることは難しいですが,本件事案において当所は,様々な法的主張から,従前の3倍の賃料という極めて稀な調停調書を取得することに成功しました。賃貸借契約においては,専門的な法律知識が必要になりますので,早期に専門家の意見を聞いていただきたいと思います。