この事例の依頼主
30代 男性
20歳であるとの掲示板の説明を信じ、その掲示板を通じて合う約束をした女性と一緒にホテルに入りました。1万円を支払って、肉体関係を持った。ただ、その時の女性の言動が、どうも高校生っぽい気がして後で不安になりました。ネットでいろいろと調べたところ、後で女性が別の件で警察に補導されて18歳未満の未成年だったことが判明するなどした場合、携帯電話の履歴を解析され、児童買春あるいは条例違反で突然逮捕されて新聞報道されてしまう可能性があることを知りました。怖くて眠れなくなり、いつも警察に付けられているような気がして普通の生活を送ることもできません。自首した方が良いのかどうか、相談したいという事案。
当職から、①逮捕された場合には原則報道発表がなされる可能性が高く、逮捕されずに在宅事件扱いとなる場合にはその可能性は低いこと、②自首した場合には、逮捕されない可能性が高いが、自首しない場合には、逮捕の可能性は半々であること、③18歳未満でなかった場合には、逮捕も処罰もされないが、18歳未満だった場合には、「18歳未満だと分かっていた場合」あるいは「18歳未満かもしれないと思いながらそれでも構わないと思っていた場合」には、児童買春で逮捕・処罰される可能性があること、「18歳未満だとは全く思っていなかった」等の場合で、年齢に関する説明文の客観証拠からそう信じたとしてもやむを得ない状況が認められる場合には、児童買春で逮捕・処罰される可能性は低いこと、ただ、理屈上、条例違反で逮捕・処罰される可能性は残るも、実務上、年齢認識のない金銭交付のこのようなケースにおいては、児童買春が成り立たないから条例違反で処罰するという運用はなされていないことが多いようである、との説明をしました。とにかく、逮捕による報道のリスクだけは絶対に避けたく、そのことを最優先にしたい、との相談者の判断となり、私も同行して、警察に自首をしました。結局、確かに女性は18歳未満ではあったものの、20歳であるとの虚偽説明をしている証拠があり、自首をした誠意と、18歳未満だとは全く思わなかったという話にも信憑性があるとの判断から、逮捕もされず、処罰も一切されなかった。
自首をした方が良いのか、しなくても良いのか、悩ましい場面があります。そのような悩みは、まっとうな悩みであり、みなさんの誠実さを表すものでもあります。自首をした結果、あるいは、自首をしないでいる間に逮捕や立件がなされてしまった場合にも、被害女性と誠実に示談交渉して示談することができれば、その事情を一定程度酌んでもらい、罰金刑を軽くしてもらうことができます。事情によっては、不起訴となる場合もあります。示談も何もしないと、児童買春の場合には、被害者一人の場合には、概ね罰金100万円が相場になっているようです。但し、示談をすると、示談金にもよりますが、50~70万円程度に減額されることが多いようです。示談をしたからといって、直ちに不起訴にするという運用は採られていないようですが、事情によっては、その可能性もあります。示談以外にも、性依存の専門医を受診しての治療や性犯罪被害者のお気持ちの理解に努める学習をしたり、職場環境や家族環境を整えるなどの情状を整えるなどして、再犯の可能性が無く、反省の態度が大きいと判断される場合には、不起訴になる可能性もゼロではありません(但し、ハードルはかなぎ厳しいのが現実ではあります)。ネットで様々な情報が反映していますが、正確性を欠く情報も多く、あくまでケースバイケースで異なりますので、詳しくは、直接ご相談いただければと思います。