この事例の依頼主
20代 男性
相談前の状況
相談者様は、路上で停車中の車内で警察から職務質問を受け、任意で車内の捜索に応じたところ、車内から、ジョイント(大麻を通常のタバコのように紙で手巻きにしたもの)を巻くためのペーパーと、ごく微量の葉片が入ったパケが見つかりました。相談者様が、あくまでも任意の捜査に過ぎないことを理由に警察に解放を求めましたが、これを拒否されたため、知り合いを通じて弁護士に連絡をし、依頼に至りました。
解決への流れ
弁護士がすぐに職務質問の現場に駆け付けたところ、警察は尿検査のための令状の発行待ちであるとのことだったので、相談者様と打ち合わせの上、尿検査については任意に応じる旨を伝え、一緒に警察署に移動しました。尿検査の結果は陽性であったものの、相談者様は身に覚えがなかったことから、弁護士から警察に対して、パケやペーパーは車に同乗した他者が持ち込んだものである可能性があること、知らないうちに大麻の向精神作用の主成分であるTHCを体内に取り入れた可能性もあることなどを警察に説明し、結果として相談者様は当日中に解放され、逮捕や事件化を免れました。
令和6年12月12日以前は、大麻については他の違法薬物と異なり使用罪が存在しなかったため、仮に尿検査において陽性が出たとしても、大麻そのものを所持していなければ罪にはならなかったほか、大麻を所持していた場合でも、向精神作用をもたらすには足りない程度のごく微量の所持であれば不起訴になっていました(本件も使用罪が存在しない当時の事件でした)。しかし、同日以降は、法改正により麻薬及び向精神薬取締法の規制対象となり、新たに使用罪が創設されたため、覚せい剤など他の違法薬物と同様に、大麻そのものを所持していなくても、尿検査の結果で陽性が出ることで逮捕や起訴に進んでしまう可能性が高くなってしまいました。いずれにせよ、早期に弁護士が介入することにより、早期の身柄解放や穏当な処分につながる余地がありますし、営利目的の存否が争われるケースなどでは供述内容やその他の客観証拠の状況により結末が大きく左右され得るので、初動の段階で弁護士に相談することが望ましいでしょう。