この事例の依頼主
20代 男性
被害者多数の性犯罪を犯して逮捕され、更生を願う家族から依頼を受けて受任。アダルト動画に見入ってしまい、通りすがりの女性に対して性犯罪を繰り返していた。裁判員裁判対象事件であり、再犯防止や更生に重きを置く裁判での情状立証も見据え、更生支援活動に重点を置く弁護活動が要求された。
複数被害者との示談交渉、検察庁から情報収集しての本人及び家族に対する説明が必要となったほか、性犯罪・窃盗・傷害・薬物犯罪・飲酒に絡む犯罪などは、「わかっちゃいるけどやめられない」依存症が根本原因です。倫理観に訴えたり根性論では再犯防止ができないことが多いところ、その依存症の典型事案です。そのことを認識してもらい、依存症を適切に治療できる専門医の診察と治療計画が必要でした。被害者と示談していただくためには、まず、自分の犯した罪の大きさ、被害者に対する影響の大きさ、再犯率の多い性犯罪の再犯防止の困難さを知り、何故自分がこのような犯罪を犯したのかという犯罪の原因を分析し、二度と同じ過ちを犯さないための再犯防止策を検討してもらい、更生のための道筋を立てておくことが急務でした。そこで、性犯罪の原因や治療についての専門医の書籍、性犯罪被害者の手記集、性犯罪から更生した者の手記、自己啓発本、犯罪から脱却して正業についた方々の工夫が記された書籍など、多数の書籍類を差し入れ、原因の分析をしてもらった。また、交際相手、家族と文通をしてもらい、お互いに今まで話せなかったこと、原因や対策について会話を積み重ねてもらい、認識を共有してもらった。このような活動により更生のための道筋がある程度整理されてきた段階で各被害者とお会いし、二度と別の被害者を出さないために今やっていることを説明し、また、被害者支援に日頃従事している視点から、犯罪被害に遭われた際の保険適用、防犯チェック、カウンセラーや弁護士紹介等の説明を日頃の被害者支援同様に行い、信頼していただいた被害者とは示談が成立した。専門医にも面会をしてもらい、医師の視点での原因と再発防止策が示され、これらの取り組みを示しながら情状弁護に努めた結果、求刑の6割まで刑が減軽された。その後、ご本人とは文通が続いている。
当事務所では、上記のような、依存症からの脱却、被害者の立場に立って物を考えられるようになる更生支援活動に重点を置く情状弁護活動に注力しています。正しい知識を持って、犯罪の原因を分析し、再発防止策を立てることがとても重要です。