この事例の依頼主
10代 男性
当時16歳の少年が、同級生に対してカラオケボックスや多目的トイレで複数回に亘り性的な行為を行い、その様子を動画で撮影していたという事案です。単に性的な行為を行ったというだけであれば、不同意性交等罪や不同意わいせつ罪が成立するのみですが、動画や写真の撮影が加わることで、いわゆる撮影罪や児童ポルノ禁止法違反の罪も成立してしまいます。このケースでも、「性的姿態等撮影、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、逮捕監禁、不同意性交等未遂保護事件」という形で複数の罪名が成立していました。死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件については、少年であっても検察官送致となり大人と同じ処罰を受ける可能性があります。ご両親からご相談をいただき、学校への調査や刑事罰の回避、被害者との示談交渉をご依頼いただきました。
重大事件であったため、検察官送致となり一時は刑事罰が課される可能性もありましたが、被害者との示談を成立させることができていたため、家庭裁判所で少年事件として処理されることになりました。少年事件では、家庭裁判所の調査官が少年の家庭環境や交友関係、生活状況を確認します。この際、学校に対しても調査が行われる場合があります。この事件では、少年の兄弟姉妹も同じ学校に通っていたため、学校に調査が入ると少年本人のみならず兄弟姉妹にも悪影響があることが想定されました。当事務所としては、事前に調査官と打ち合わせを行い、調査官が学校から聞き取りや把握をしたいと考える事項について弁護士から資料の提出を行うことで学校への調査を回避することができました。少年事件の結論は、「少年院送致」や「保護観察」があり、稀に「不処分」ということもあります。本件では、当初は少年院送致となることも想定されましたが、前歴が無いことに加え、ご両親やご兄弟からも多くの協力を得ることができ、引き続き家庭で監督を行うことが可能であり、少年本人の更生のためにもそれが適切であると裁判所の理解を得ることができました。結果、不処分ということで保護観察すら回避することができました。
20歳に満たない者が犯罪を行うと、少年事件として取り扱われます。少年事件は大人の刑事事件とはまた異なる手続であり、特殊性を有する分野です。この事案は、少年事件としては異例の重大事件でしたが、無事に不処分を獲得することができました。少年事件においては、警察が捜査をしている段階の本人や両親の様子・振る舞いも裁判所に共有されます。ご両親が不安になっていることが悪く見られてしまい、「少年のことばかり気にしていて被害者への配慮が不足している」とか「少年への指導力に疑問がある」といった報告がなされてしまっている件も非常に多いです。少年が逮捕されてしまった場合はもちろん、事件を起こしたことがわかり警察が捜査をしているとか、被害者から連絡があったということがあった場合は速やかに弁護士にご相談いただくことをおすすめいたします。