この事例の依頼主
30代 男性
依頼者(30代男性・会社員)は、懇親会の帰りに駅前で、面識のない男性と口論になりました。口論はエスカレートし、カッとなった依頼者は相手の顔面を殴ってしまい、全治2週間の怪我(打撲・鼻骨骨折)を負わせてしまいました。通報により駆け付けた警察官によって、依頼者は傷害罪の容疑で現行犯逮捕されました。逮捕されたのは初めてのことで、依頼者は気が動転していました。「前科がついてしまうのではないか」「会社をクビになるのではないか」「家族にどう説明すればいいのか」と、将来に対する強い不安を抱えていました。ご家族も突然の逮捕に大変驚き、当事務所にご相談に来られました。
ご家族からの依頼を受け、弁護士が直ちに警察署へ接見に向かいました。依頼者から詳細な事情を聴取し、まずは早期の身柄解放と、被害者の方との示談交渉を進める方針を立てました。弁護士は、依頼者が深く反省していること、前科がないこと、定職に就き家族を養っていることなどを検察官に説明し、勾留請求しないよう求めました。同時に、被害者の方へ謝罪の意を伝え、治療費や慰謝料を含む示談金の交渉を開始しました。被害者の方は当初、処罰感情が強く示談交渉は難航しましたが、弁護士が粘り強く依頼者の謝罪の気持ちと反省の態度を伝え、また、適正な示談金の額を提示し交渉を続けました。その結果、最終的には示談に応じていただくことができ、「宥恕(ゆうじょ:許し、罪に問わないでほしいという意思)文言付き」の示談書を作成することができました。この示談書と、依頼者の反省文、ご家族からの嘆願書などを添えた意見書を検察官に提出し、不起訴処分が相当である旨を強く主張しました。その結果、検察官は依頼者を不起訴処分(起訴猶予)としました。これにより、依頼者は前科が付くことなく、勾留もされずに済み、早期に社会復帰を果たすことができました。会社に知られることもなく、以前と変わらない生活に戻ることができました。
傷害事件は、被害者の方との示談が成立しているかどうかが、検察官の処分(起訴・不起訴)や裁判になった場合の判決に極めて大きな影響を与えます。特に、被害感情が強い場合、加害者本人やその家族が直接交渉しようとしても、かえって感情を逆撫でしてしまい、示談が難しくなるケースが多くあります。本件では、逮捕直後という早い段階でご依頼いただけたため、弁護士が迅速に介入し、依頼者の代理人として冷静かつ丁寧な交渉を行うことができました。被害者の方のお気持ちに配慮しつつ、依頼者の深い反省と謝罪の意を伝え、宥恕文言付きの示談を成立させられたことが、不起訴処分獲得の最大の要因です。傷害事件を起こしてしまった場合、たとえ逮捕されていなくても、できる限り早く弁護士にご相談いただくことが、早期解決とより良い結果につながります。ご自身やご家族だけで悩まず、まずは専門家である弁護士にご連絡ください。初期対応がその後の結果を大きく左右します。