犯罪・刑事事件の解決事例
#加害者 . #交通犯罪

過失運転致傷罪(交通事故)、刑事事件の示談成立で不起訴処分を獲得した事例

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磯田 直也 弁護士が解決
所属事務所ルーセント法律事務所
所在地兵庫県 宝塚市

この事例の依頼主

30代 男性

相談前の状況

依頼者(30代男性・会社員)は、自家用車を運転中、交差点で右折する際に、対向車線を直進してきたバイクとの距離を見誤り、衝突事故を起こしてしまいました。この事故により、バイクを運転していた被害者(20代男性)が転倒し、右腕の打撲及び左足首の捻挫で全治3週間程度の怪我を負いました。事故後、依頼者はすぐに警察に連絡し、事故状況の説明や実況見分に協力しました。依頼者には前方不注意及び安全確認義務違反の過失が認められたことから警察からは「過失運転致傷罪として捜査し、検察庁に書類送致します」と告げられました。依頼者は、加入している自動車保険(任意保険)を通じて、被害者の治療費やバイクの修理費などの民事上の損害賠償は行う予定でした。しかし、それとは別に刑事事件として扱われ、罰金刑などの刑事罰を受けたり、前科がついたりする可能性を非常に心配していました。被害者の方への申し訳ない気持ちと共に、刑事手続きへの不安から当事務所に相談に来られました。

解決への流れ

ご相談の際、事故状況や内容、被害者の怪我の程度などを詳しく確認させていただきました。交通事故の刑事事件においては、任意保険会社による民事上の損害賠償とは別に、刑事事件に関する別途の示談が非常に重要です。当事務所では、依頼者の弁護人として以下の活動を行いました。・被害者への謝罪: まず、依頼者の謝罪の気持ちを伝えるため、弁護士から被害者の方へ連絡を取り、謝罪の意を表明しました。(保険会社の担当者とは別に、弁護士から連絡を取ります。)・刑事示談の交渉: 弁護士は被害者に対し、民事上の損害賠償(保険金)とは別に、今回の事故によって刑事事件の被疑者となったことについて、依頼者が深く反省し、謝罪の気持ちを表したい旨を伝え、示談金(謝罪金・見舞金)の支払いによる示談を申し入れました。被害者の方は当初、事故のショックもあり戸惑いを見せていましたが、弁護士が依頼者の真摯な反省の態度と、示談が刑事処分に与える影響などを丁寧に説明した結果、示談に応じていただくことができました。被害者との示談書と共に、依頼者の反省文、依頼者に有利な事情(前科前歴がない、社会的地位など)を盛り込んだ意見書を作成し、担当検察官に提出しました。意見書では、民事上の賠償は保険で対応済みであることに加え、別途刑事事件に関する示談も成立し被害者の処罰感情が大きく緩和されている点を強調し、不起訴処分(起訴猶予)が相当であると主張しました。これらの弁護活動の結果、検察官は、被害者の怪我が比較的軽微であること、民事上の賠償が進んでいることに加え、特に刑事事件に関する示談が成立し、被害者が宥恕している(または厳罰を望んでいない)点を高く評価し、依頼者を不起訴処分(起訴猶予)としました。これにより、依頼者は刑事裁判や罰金刑を免れ、前科が付くことも回避できました。

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磯田 直也 弁護士からのコメント

人身事故を起こしてしまった場合、多くの方が「保険に入っているから大丈夫」と考えがちです。しかし、自動車保険が対応するのは、あくまで民事上の損害賠償の部分です。怪我の程度や事故の態様によっては、それとは別に過失運転致傷罪という刑事事件として扱われ、罰金や懲役といった刑罰、そして前科がつく可能性があります。刑事事件の処分を決める検察官は、被害者の処罰感情を非常に重視します。保険会社が行う損害賠償交渉だけでは、被害者の「加害者を許す」という気持ちまでは十分に反映されないことがあります。そこで重要になるのが、弁護士を通じた刑事事件に関する示談交渉です。民事の賠償とは別に、謝罪の気持ちとして示談金を支払い、被害者の方から「許し(宥恕)」や「厳罰を望まない」という意思表示を得て書面化することで、検察官に「被害者の処罰感情は低い」と示すことができます。特に、怪我の程度が比較的軽い事案では、この刑事示談の成否が不起訴処分を獲得できるかどうかの大きな分かれ目となることが少なくありません。人身事故を起こしてしまい、刑事事件になるのではないかと不安な方は、保険会社任せにせず、できるだけ早く刑事弁護に詳しい弁護士にご相談ください。適切な時期に、適切な方法で被害者の方と示談交渉を行うことが、前科回避、ひいてはご自身の将来を守るために非常に重要です。