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刑事事件の示談交渉とは?刑事事件における「示談(じだん)」とは、事件の加害者(罪を犯した側)と被害者(被害を受けた側)との間で、事件の解決について話し合い、合意することを指します。多くの場合、加害者側が被害者の方へ真摯に謝罪し、事件によって与えた損害(怪我の治療費、壊れた物の修理代、精神的な苦痛など)に対する賠償金や慰謝料などを含む示談金を支払うことで合意がなされます。単にお金を支払うだけでなく、被害者の方に「加害者を許す(宥恕:ゆうじょ)」という意思や、「加害者に対して厳しい処罰を求めない(厳罰不希望)」という意思を示していただくことが、刑事手続きにおいては非常に重要な意味を持ちます。なぜ刑事事件で示談交渉が重要なのか?警察や検察官(事件を起訴するかどうかを決める人)、裁判官(刑罰を決める人)は、刑事事件の処分や刑罰を決める際に、被害者の方の感情(被害感情や処罰意思)を非常に重視します。被害者が加害者を許しているのか?被害者が加害者に対してどのような処罰を望んでいるのか?これらの点が、加害者の処分(逮捕するかどうか、起訴するかどうか、刑罰の重さなど)に大きく影響します。示談交渉を通じて、加害者が被害者の方へ謝罪と被害弁償を尽くし、その結果として被害者の方が「許す」「厳しい処罰は望まない」という気持ちになってくださったことを示談書という形で示すことができれば、それは加害者にとって非常に有利な事情として考慮されます。(※交通事故における保険金の支払いだけでは、民事上の賠償はされても、被害者の「許す」という気持ちまでは明確に示されないことが多いため、別途刑事事件としての示談が重要になる場合があります。)
示談交渉のメリット刑事事件で示談が成立することには、以下のような大きなメリットがあります。・逮捕・勾留の回避: 事件が警察に発覚する前や捜査の初期段階で示談が成立すれば、逮捕されずに済む、あるいは逮捕されても早期に釈放される可能性が高まります。・不起訴処分の獲得(前科がつかない): 検察官が事件を起訴するかどうかを判断する際に、示談の成立、特に被害者の「宥恕(許し)」は極めて有利な事情となります。示談が成立した結果、不起訴処分(起訴猶予など)となれば、刑事裁判は開かれず、前科もつきません。これは示談交渉の最大のメリットの一つです。・刑の軽減(執行猶予など): もし起訴されて刑事裁判になった場合でも、示談が成立していることは、裁判官が刑罰を決める上で非常に有利な情状となります。実刑(刑務所に入る)ではなく執行猶予付き判決を得られたり、罰金や懲役刑が軽くなったりする可能性が高まります。・早期の事件解決と精神的負担の軽減: 示談によって当事者間の紛争が解決に向かうことで、事件が長期化することを防ぎ、加害者・被害者双方の精神的な負担を軽減する効果も期待できます。弁護士に示談交渉を依頼するメリット示談交渉は加害者本人でも行うことは不可能ではありませんが、多くの場合、以下の理由から弁護士に依頼することが望ましいです。・被害者の連絡先: 捜査機関は通常、加害者本人に被害者の連絡先を教えません。弁護士であれば、検察官や警察を通じて被害者の連絡先を入手できる場合があります。・被害者感情への配慮: 加害者本人が直接連絡すると、被害者の感情を逆撫でしてしまい、交渉がうまくいかない、あるいは拒否されるリスクがあります。弁護士が間に入ることで、被害者も冷静に話を聞き入れやすくなります。・適切な示談金額: 弁護士は、事件の内容や被害の程度に応じた適切な示談金の相場を把握しており、妥当な金額での解決を目指せます。・法的に有効な示談書の作成: 示談の条件(宥恕条項など)を明確にし、後々のトラブルを防ぐためにも、法的に有効な示談書を作成する必要があります。・捜査機関・裁判所への効果的な報告: 成立した示談の内容が、加害者にとって有利な事情として検察官や裁判官に適切に伝わるよう、弁護士が報告書や意見書を作成し提出します。
[示談交渉をお考えの方へ]刑事事件の加害者となってしまい、被害者の方がいる場合には、できる限り早期に示談交渉を開始することが、より良い結果につながる可能性を高めます。ご自身やご家族だけで悩まず、まずは刑事事件の経験が豊富な弁護士にご相談ください。示談交渉の見通しや進め方について、具体的なアドバイスをさせていただきます。