犯罪・刑事事件の解決事例
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刑事裁判の流れ:起訴から判決まで

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磯田 直也 弁護士が解決
所属事務所ルーセント法律事務所
所在地兵庫県 宝塚市

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

はじめに検察官によって起訴されると、刑事裁判(公判手続き)が始まります。ここでは、刑事裁判が、一般的にどのような流れで進むのかを、順を追ってご説明します。事案の複雑さなどによって、審理にかかる日数や回数は異なります。1. 起訴(きそ)検察官が、裁判所に対して「この被告人を、この犯罪事実で罰してください」という内容の書類(起訴状:きそじょう)を提出します。これが「起訴」です。起訴されると、それまで「被疑者(ひぎしゃ)」と呼ばれていた立場から、「被告人(ひこくにん)」という立場に変わります。被告人には、起訴状のコピー(起訴状謄本:きそじょうとうほん)が送達されます。裁判所は、第1回目の裁判を開く日(第1回公判期日:だいいっかいこうはんきじつ)を決定し、被告人や弁護人に通知します。2. 第1回公判期日(だいいっかいこうはんきじつ)裁判が開かれる最初の日の手続きです。通常、以下の順序で進められます。○冒頭手続(ぼうとうてつづき)・人定質問(じんていしつもん): 裁判官が、法廷にいるのが間違いなく起訴状に書かれた被告人本人であるかを確認します(名前、生年月日、住所、職業などを質問します)。・起訴状朗読(きそじょうろうどく): 検察官が、起訴状に書かれている内容(どのような罪で起訴されたのか)を読み上げます。・権利の告知(けんりのこくち): 裁判官が、被告人に対して、言いたくないことは言わなくてもよい権利(黙秘権:もくひけん)を説明します。・罪状認否(ざいじょうにんぴ): 被告人が、起訴状に書かれている事実について、認めるか、認めないか(否認:ひにん)、あるいは黙秘するかを述べます。弁護人も、被告人の立場を補足する意見を述べることがあります。○証拠調べ手続(しょうこしらべてつづき)・検察官の冒頭陳述(ぼうとうちんじゅつ): 検察官が、これから証拠によって証明しようとする事実(事件の経緯、被告人の犯行内容など)のあらすじを述べます。・検察官請求証拠の取調べ(けんさつかんせいきゅうしょうこのとりしらべ): 検察官が、被告人の有罪を証明するための証拠(証拠書類、凶器などの物証、目撃者や被害者の証言など)を提出し、その内容が取り調べられます。証人に対しては、検察官が質問(主尋問:しゅじんもん)し、次に弁護人が質問(反対尋問:はんたいじんもん)します。・弁護人請求証拠の取調べ(べんごにんせいきゅうしょうこのとりしらべ): (罪を争う場合や、刑を軽くすべき事情を主張する場合など)弁護人が、被告人に有利な証拠(アリバイ証拠、反省を示す証拠、情状証人など)を提出し、取り調べられます。証人に対しては、弁護人が主尋問し、検察官が反対尋問します。・被告人質問(ひこくにんしつもん): 弁護人や検察官(場合によっては裁判官も)が、被告人本人に対して事件に関する質問をします。被告人は黙秘権を行使することもできます。※罪状認否で罪を認めている簡単な事件などでは、第1回公判期日ですべての証拠調べが終わることもあります。

解決への流れ

3. 続行期日(ぞっこうきじつ)第1回公判期日で審理が終わらない場合、後日、裁判が続けられます。これを続行期日といいます。複雑な事件や争いのある事件では、何度も続行期日が開かれ、証拠調べが続けられます。4. 論告・弁論(ろんこく・べんろん)すべての証拠調べが終わると、裁判は最終段階に入ります。○検察官の論告・求刑(ろんこく・きゅうけい): 検察官が、証拠調べの結果に基づき、被告人が有罪である理由を述べ(論告)、どのくらいの刑罰(懲役〇年、罰金〇円など)が相当であるかについての意見を述べます(求刑)。○弁護人の最終弁論(さいしゅうべんろん): 弁護人が、証拠調べの結果に基づき、被告人に有利な事情(無罪であること、刑を軽くすべき理由など)を主張し、検察官の主張に反論します。○被告人の最終陳述(さいしゅうちんじゅつ): 被告人本人が、最後に裁判所に対して自分の気持ちや意見を述べる機会が与えられます。5. 結審(けっしん)と判決(はんけつ)○被告人の最終陳述が終わると、裁判長が審理の終結(結審:けっしん)を宣言し、判決を言い渡す日(判決期日:はんけつきじつ)を指定します。○指定された判決期日に、裁判官が法廷で判決(有罪か無罪か、有罪の場合はどのような刑罰か)を言い渡します。判決の主文(しゅぶん:結論)と、その結論に至った理由(判決理由:はんけつりゆう)が述べられます。6. 控訴・上告(こうそ・じょうこく)判決に不服がある場合、被告人(弁護人)も検察官も、定められた期間内(通常は判決言い渡しの翌日から14日以内)に、上級の裁判所(高等裁判所や最高裁判所)に対して不服を申し立てる(控訴・上告)ことができます。

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磯田 直也 弁護士からのコメント

[刑事裁判における弁護士の役割]刑事裁判の全過程において、弁護士(弁護人)は被告人の権利を守り、最善の結果を得るために活動します。具体的には、検察官から開示された証拠を検討し、裁判の戦略を立て、証拠調べで被告人に有利な証拠を提出し、不利な証拠に対しては反対尋問などでその信用性を争い、最終弁論で説得的な主張を行います。また、被告人本人やご家族の精神的な支えとなることも重要な役割です。[おわりに]以上が、日本の刑事裁判の大まかな流れです。実際の裁判は、個々の事件の内容によって進み方が異なる場面もあります。もしご自身やご家族が刑事裁判に臨むことになった場合は、必ず弁護士に相談し、詳しい説明を受け、十分な準備をすることが重要です。