犯罪・刑事事件の解決事例
#国際相続

委託を受けて管理している不動産のオーナーが外国籍で、死亡した場合について

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関 範子 弁護士が解決
所属事務所やよい共同法律事務所
所在地東京都 港区

この事例の依頼主

30代 男性

相談前の状況

私は不動産の管理会社社員ですが、弊社が管理をしているあるマンションのオーナー女性が亡くなりました。このオーナー女性は、A国籍の方で、旦那様は日本人です。しかし、旦那様は既に亡くなられており、息子さんが、相続人代表者として、相続手続を行うことになりました。なお、息子さんは、日本在住ですが、A国籍です。この場合、①相続について、A国の法律に従う必要があるのでしょうか。また、②オーナー女性と息子さんの親子関係を確認するには、どうすれば良いでしょうか。

解決への流れ

オーナー様が外国籍でしたので、相続手続がどこの国の法律に従ってなされるのか、あらかじめ確認しておきたいと思いました。また、オーナー様の旦那様は日本人でしたが、息子さんが日本人ではなくA国籍とのことでしたので、相続人である以上、オーナー様との親子関係を確認させていただく必要がありました。この点、外国籍であるオーナー様には戸籍がありませんので、どのようにすれば確認ができるのかわからず、弁護士に相談したところ、調査の糸口になることを色々教えてもらうことができ、助かりました。

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関 範子 弁護士からのコメント

近頃は、不動産管理会社が、オーナーが外国籍の方である不動産を担当されることも多いようで、本件のように、オーナーが亡くなって相続が発生した場合や、何かトラブルが発生した場合に、一体どの国の法律が関係してくるのかということを意識し、ご相談をお寄せになることが多いと感じます。外国の要素が含まれる法的諸問題につき、いずれの国の法律が適用されるかについて、我が国では、「法の適用に関する通則法」という法律が定めています。同法第36条において、「相続は、被相続人の本国法による。」と定められていますので、本件では、①相続について、オーナー女性の本国であるA国の法律が適用されることになります。次に、②オーナー女性の息子さんはA国籍とのことですが、そうであれば、息子さんは、(ⅰ)オーナー女性と日本人の旦那様との間に生まれた非嫡出子であるか、(ⅱ)オーナー女性のお子様であって、日本人の旦那様との間には親子関係がないかのいずれかであると考えられます。(ⅰ)の場合は、日本人の旦那様が息子さんを認知していれば、旦那様の戸籍に、オーナー女性が息子さんの母親である旨の記載があると考えられます。また、息子さんが日本で生まれていれば、出生届があるはずですので、そこにオーナー女性との親子関係が記載されていると考えられます。(ⅱ)の場合であれば、A国の役所から息子さんの出生証明書を取り寄せれば、オーナー女性との親子関係がわかると考えられます。