この事例の依頼主
60代 男性
相談前の状況
不動産の賃貸業を営む会社の社長さんからのご相談でした。都内に所有する物件のテナント(賃借人)のうち、一部の賃借人の賃料が、近隣の相場に比べてかなり低額であるので、せめて、近隣相場程度の額まで増額したいとのことで、ご依頼を受けました。
解決への流れ
当職が受任後、早速、賃料の低額な賃借人に対し、内容証明郵便にて、賃料の増額を請求しました。その後、相手方にも代理人が就き、交渉しましたが、当方が希望する額には到底及ばないということで、まずは、調停を申し立てました。調停においても、金額面でなかなか折り合いがつかなかったため、2回目の調停期日において、調停不成立となりました。そこで、当方から、賃料増額請求訴訟を提起しました。訴訟の中では、双方がそれぞれ主張・反論を展開した末、裁判所に、中立な第三者の不動産鑑定士を鑑定人として選任してもらい、その鑑定人に、適正な賃料額を鑑定してもらうことになりました。その鑑定結果が出たあと、当該鑑定額をベースに調整した結果、依頼者もある程度納得のいく金額で和解成立となりました。
賃料増額請求事件において、当事者間で金額に折り合いがつかなければ、適正な賃料額は、最終的には裁判所が決定することになりますが、実際には、裁判所の判断は、裁判所が選任する鑑定人の鑑定結果に大きな影響を受けることになりますので、早期に、調停・訴訟を提起して、鑑定人による鑑定結果をベースとした和解協議に至ったことが、比較的早期の解決につながったポイントであったと考えています。