この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
何もしていないのに,盗撮の疑いをかけられ逮捕された方から刑事弁護の依頼を受けました。元々民事の事件で以前依頼を受けた方でしたので,無罪を信じて弁護人となりました。検察官は,証拠があるからなどと言って勾留し,被疑者や私の言うことは一切聞きませんでした。もっとも,私は当初から,彼の無罪を信じて,釈放されるであろうと思っていました。
解決への流れ
勾留場所の警察署も近くでしたので,私はほぼ毎日接見に行きました。私は依頼者を信じていましたので,証拠などあるわけがないと踏んでいました。ところが,検察官は決定的な証拠があるなどと言って,一切応じてくれません。日にちが過ぎて,二勾留目の期限が来ると,検察官は釈放しました。私は,当然と思っていたので,それ程嬉しくはありませんでした。それよりも,証拠があるなどと嘘を言って二勾留も身柄拘束をした検察官に腹が立ちました。勿論,ご本人も同じでしたが,ほぼ毎日接見に来てくれたことを非常に感謝されました。
警察は,よく,見込み段階に過ぎないのに,逮捕することが多いようです。ただ,それは,犯罪を取り締まるのが警察の仕事ですから,仕方ないのかもしれません。しかし,時には,犯罪をしたことを認めれば釈放してやるなどと嘘を言って,嘘の自白を作り出すようなことはまだ行われていることを耳にします。勿論,違法なことですが,証明することは困難でしょう。また,検察官はあくまでも法曹の一翼を担う立場です。従って正義を実現することも担っている筈です。にも拘らず,近頃の検察官の中には,証拠もないのに証拠があると嘘いって被疑者を取り調べたり,勾留したりする者もいるようです。客観的証拠がなければ速やかに釈放すべきですし,被害者の言うところにおかしいと思うところがあり,冤罪の可能性があるのであれば,矢張り速やかに釈放すべきでしょう。以上のような,間違った警察の取調べや検察官の不誠実な対応の犠牲になって,無罪の方が前科者にならぬよう,逮捕されたら早い段階で弁護人を雇うべきです。このところ,不起訴にした事件が4件程続きました。違法に作られた証拠でも,作られて起訴されてしまえば,そのまま検察官の言う通りに有罪とするのが裁判の現状ですので,不起訴にするのが一番だと近頃は実感しています。無実で逮捕された場合には,まず黙秘権を行使して何も言わず,弁護士を呼んで下さい!あなたのためにもお願いします。