この事例の依頼主
60代 男性
相談前の状況
法律相談で罰金刑の略式命令書を持参した相談者から,駐車場内でコツンと接触しただけで相手の車の運転手ら数名が怪我をしたのは納得できないとの訴え。期限内に異議申立てをすることを助言し,弁護活動を開始した。
解決への流れ
略式命令に対する異議により事件は正式裁判に移行し,被害者夫婦の尋問,診断書を作成した医師に対する尋問,被告人質問等を経て,被害者ら夫婦の証言の矛盾,診断書記載の傷害の内容・程度の不自然不合理性,被疑者車両の速度に関する見分結果等を立証するとともに,弁護士照会による被疑者らの同種事故による保険金取得事実と本件がその治療中とされる時期の事故であったことなどを立証し,被害者らの証言や保険金請求の欺瞞性を立証して,依頼者(被告人)の無罪判決を得ました。
被害者の説明を率直に聞いた限り略式命令記載の罪となるべき事実のような傷害の発生はあり得ないというごく基本的初歩的な疑問が生じたことから,事故状況,事故に至る経緯等に関する事実を丹念に洗っていくと矛盾点不合理な点が多数生じて必然的に無罪となるべき事件であったことが理解できます。納得できない検察官や裁判所の処分に対する依頼者の不満不服をいかに吸い上げるかが大事です。