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ES細胞を盗んだ?「刑事告発」された小保方さん――警察はどう動くのか
2015年02月02日 12時03分

STAP論文の筆頭著者である小保方晴子・元理化学研究所研究員が、既存の万能細胞であるES細胞を盗んで「STAP細胞」と偽った疑いがあるとして、刑事告発された。元理研上級研究員の石川智久氏(60)が1月下旬、兵庫県警に告発状を提出したのだ。県警は受理するか否か、慎重に検討するという。

報道によると、この告発状は、小保方氏が、STAP論文共著者の若山照彦氏(山梨大学教授)が理研に在籍していた当時の研究室から、ES細胞を盗み出したとしている。そのうえで、このES細胞を混入させた細胞サンプルを若山氏にわたし、実験をおこなわせていたなどとしている。

STAP細胞をめぐっては、理研の調査委員会が昨年12月、「既存のES細胞が混入した可能性が非常に高い」と結論づけた。しかし、誰が、どのようにES細胞を混入させたのかまでは、わかっていなかった。

今回の告発状の提出を受けて、小保方氏の代理人をつとめる三木秀夫弁護士は「小保方氏がES細胞を窃盗したという事実はなく、その動機もない。告発状の内容は事実に反している」とコメントしている。今回の刑事告発を弁護士はどう見るのか。冨宅恵弁護士に聞いた。

STAP論文の筆頭著者である小保方晴子・元理化学研究所研究員が、既存の万能細胞であるES細胞を盗んで「STAP細胞」と偽った疑いがあるとして、刑事告発された。元理研上級研究員の石川智久氏(60)が1月下旬、兵庫県警に告発状を提出したのだ。県警は受理するか否か、慎重に検討するという。

報道によると、この告発状は、小保方氏が、STAP論文共著者の若山照彦氏(山梨大学教授)が理研に在籍していた当時の研究室から、ES細胞を盗み出したとしている。そのうえで、このES細胞を混入させた細胞サンプルを若山氏にわたし、実験をおこなわせていたなどとしている。

STAP細胞をめぐっては、理研の調査委員会が昨年12月、「既存のES細胞が混入した可能性が非常に高い」と結論づけた。しかし、誰が、どのようにES細胞を混入させたのかまでは、わかっていなかった。

今回の告発状の提出を受けて、小保方氏の代理人をつとめる三木秀夫弁護士は「小保方氏がES細胞を窃盗したという事実はなく、その動機もない。告発状の内容は事実に反している」とコメントしている。今回の刑事告発を弁護士はどう見るのか。冨宅恵弁護士に聞いた。

●「告発」は犯罪に関係ない第三者からの申告

「今回のSTAP論文の騒動で、小保方氏が所属していた理研の『発生・再生科学総合研究センター』は『多細胞システム形成研究センター』と名称を変更し、解体的な組織変更を余儀なくされて、規模も大幅に縮小されました。

私の推測ですが、組織変更に伴って、理研において研究活動を継続できなくなった研究員がいて、小保方氏に対して個人的な感情を抱いている人も少なくなく、その結果として、元研究員が告発状を提出するという事態が発生したのではないかと思います」

冨宅弁護士は今回の刑事告発の背景について、このように推測する。そもそも「告発」とはどういったことだろうか。

「捜査のきっかけになるのは、通報や職務質問のほか、被害者からの被害届や告訴が主となります。さらに、犯罪行為に関係のない第三者からの申告もあります。これが『告発』です。

告発を受理すると、捜査機関は告訴の場合と同じように捜査するという法的な義務を負います。そのため告発状を受け取った場合、受理するか否かを慎重に判断することになります」

●「ES細胞は貴重な財物」

もし仮に、小保方氏がES細胞を持ち出していたとして、今回の「窃盗」という容疑は妥当なのだろうか。

「窃盗罪は、他人が管理している物を盗みとるという犯罪です。

もし仮に、若山氏が管理していたES細胞の入った容器を持ち出したということであれば、若山氏が被害者となる窃盗罪が成立します。

ただし、形式的に窃盗罪が成立するとしても、きわめて財産的価値が低い物を盗みとった場合には、窃盗罪で処罰する必要がないとして、捜査されない場合もあります」

ES細胞の財産的価値はどう評価されるのだろうか。

「ES細胞は、開発されるまでに多額の費用と時間を要し、量産や管理にも少なからずの費用がかかる貴重な財物であると評価されると思います。ES細胞が納められた容器を持ち出した場合には、『窃盗罪で処罰する必要がない』とはいえないでしょう」

●「捜査機関が告発状を受理する可能性は低い」

今回、兵庫県警が、告発状の受理を慎重に検討しているのはなぜだろうか。

「捜査される側からすれば大きな負担となるため、捜査機関も十分な証拠がないのに、探索的に捜査を始めることはありません。

今回のように『告発』は、犯罪行為にまったく関係のない第三者によっておこなわれるため、捜査機関はより慎重に、捜査を行うか否かを検討すると思われます」

はたして、今回の告発状は受理されるのだろうか。

「たとえば、

(1)若山氏が管理していたES細胞と、小保方氏が使用した可能性のあるES細胞との同一性が、ES細胞が納められていた容器などによって、ある程度特定されている

(2)告発状に、若山氏が小保方氏にES細胞を提供していなかったことが、相当の確度をもって示されている

というものであれば、窃盗の疑いがあるとして、捜査機関は告発状を受理することも考えられます。

しかし、告発者がまったくの第三者である場合には、上記(1)と(2)について、捜査機関が納得できるように示すことは難しいのではないかと思われますので、捜査機関が告発状を受理する可能性は低いでしょう」

仮に告発が受理された場合、どのような展開になるのだろうか。

「捜査が開始されることになりますが、その場合も、検察官による起訴にまで至るかという問題があります。

もし仮に、検察官によって起訴された場合、ES細胞が納められていた容器を盗みとったか否かについて、法廷の場で明らかにされることになります」

冨宅弁護士はこのように説明していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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