悪質ホストクラブへの規制を強めた改正風営適正化法が施行される6月28日を前に、「指名数No.1」などと記載されたホストの看板が東京の新宿・歌舞伎町から姿を消しつつある。
改正法の施行に伴う警察庁からの通達により、「〇億円プレイヤー」「指名数No.1」やランキング制の存在を示す文言は規制対象となったからだ。
施行前日の27日に現地を訪れると、かつては「億超え」「神」といった文言でぎらついていたホスト看板は、張り替えられたり、規制対象となる文言が塗り潰されたりしていた。
●“億プレイヤー”が消えていく歌舞伎町
取材班が訪れた27日正午過ぎ。歌舞伎町の一画では、ホストの顔看板から「〇億円プレイヤー」「指名数No.1」などのコピーが塗りつぶされつつあった。
「4年連続1位」「店舗ランキング」が塗りつぶされた看板
別の看板では、ホストたちの顔写真は残したままテープで覆われていた。ブルーシートをかけられた広告枠もあった。
警察庁通達が「禁止ワード」として示した例が、そのまま“空白”になった格好だ。修正対応がなされていない看板もあり、これは28日以降に変更されるのかもしれない。
億単位の売上を誇る看板もまだ存在した
デジタルサイネージ看板の広告で流れるキャバクラの動画広告には、いまも規制対象の文言が使われているものもあった。
女性が接客する店のデジタルサイネージの動画広告では、まだ「No.1」が使われていた
改正法では、威迫や誘惑による料金の支払いというのための売春、性風俗店勤務、AV出演等の要求が「禁止行為」と規定され、違反すればは6月以下の拘禁刑か100万円以下の罰金が科されることになる。
そして通達では、客の遊ぶ意欲をそそり、ホストなどの間で競争意識を生じさせたりして、「営業に関する違法行為を助長するような歓楽的・享楽的雰囲気を過度に醸し出すもの」が規制違反にあたるとされた。
ホストクラブの前で女性の肩を抱く男性(6月27日撮影、加工しています)
●表現規制に対する反響
通達の内容を報じた記事に対して、SNS上では、ホストにハマった女性が困窮し、売春などに追い込まれるような状況を踏まえて、規制に理解を示す声が寄せられた。
一方で、少ないながらも「表現の自由は守らなければならない」といった声も存在する。
「僕たちは悪ですか?」と書いたホストクラブの看板
また、どれだけ広告の文言を規制しても、いたちごっこで新たな言葉が生み出されるだけだという意見もあった。
●規制された文言
通達では、実際の事例として、次のような表現があげられている。
(1) 接客従業者の営業成績を直接的に示すもの
「年間売上〇億円突破」「〇億円プレイヤー」「指名数No.1」「億超え」「億男」
(2) 営業成績に応じた役職の名称等の営業成績が上位であることを推認させるもの
「幹部補佐」「頂点」「winner」「覇者」「神」「レジェンド」「総支配人」「新人王」
(3)「ランキング制」自体の存在、接客従業者間での優位性を裏付ける事実等の接客従業者間の競争を強調するもの
「売上バトル」「カネ」「SNS総フォロワー数〇万人」
(4)客に対して自身が好意の感情を抱く接客従業者を応援すること等を過度にあおるもの
「〇〇を推せ」「〇〇に溺れろ」