10275.jpg
沖縄の観光名所で外国人観光客が結婚衣装の「ゲリラ撮影」…法的に問題ある?
2016年08月31日 09時52分

観光名所などに結婚衣装姿で現れ、許可なく記念写真を撮影し去っていくーー。そんな「ゲリラ撮影」が沖縄で問題になっていると沖縄タイムスが報じた。

沖縄タイムスによると、「ゲリラ撮影」を行っているのは、香港や台湾、中国からの観光客。プロのカメラマンや美容師を同行させる点で、一般の観光客の個人的な撮影とは異なるという。新郎新婦は車内や公共トイレで結婚衣装に着替え、目当ての撮影スポットに現れるそうだ。

「ゲリラ撮影」は、ホテルに隣接したチャペルや、世界遺産の首里城、国定公園にある万座毛(まんざもう)などで行われているという。ほかの観光客の迷惑や、リゾート地としてのイメージダウンなどが懸念されている。

沖縄リゾートウェディング協会が、カメラマン向けのマニュアルを作ってマナー意識向上を呼び掛ける予定とのことだが、こうした「ゲリラ撮影」は法的にはどのような問題があるのか。田村ゆかり弁護士に聞いた。

観光名所などに結婚衣装姿で現れ、許可なく記念写真を撮影し去っていくーー。そんな「ゲリラ撮影」が沖縄で問題になっていると沖縄タイムスが報じた。

沖縄タイムスによると、「ゲリラ撮影」を行っているのは、香港や台湾、中国からの観光客。プロのカメラマンや美容師を同行させる点で、一般の観光客の個人的な撮影とは異なるという。新郎新婦は車内や公共トイレで結婚衣装に着替え、目当ての撮影スポットに現れるそうだ。

「ゲリラ撮影」は、ホテルに隣接したチャペルや、世界遺産の首里城、国定公園にある万座毛(まんざもう)などで行われているという。ほかの観光客の迷惑や、リゾート地としてのイメージダウンなどが懸念されている。

沖縄リゾートウェディング協会が、カメラマン向けのマニュアルを作ってマナー意識向上を呼び掛ける予定とのことだが、こうした「ゲリラ撮影」は法的にはどのような問題があるのか。田村ゆかり弁護士に聞いた。

●民事上、刑事上の責任が発生する可能性がある

「ゲリラ撮影がどういった場所で行われるのかによって、刑事上、民事上の責任を問えるかが異なってきますので、場合分けして考えます。

まず、立ち入りが禁止されている建物について考えてみましょう。たとえば、使用時間外で施錠されているチャペルに無断で入って撮影した場合には、建造物侵入罪に当たる可能性があります。法定刑は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。

また、ゲリラ撮影によって、その場所で行われていた結婚式などの業務を邪魔した場合には、威力業務妨害罪として、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せされる可能性もあるでしょう。

さらにこの場合、民事上の責任として、不法行為に基づく損害賠償請求も考えられます。損害の金額としては、本来であればそのチャペルで撮影を行う場合支払わなければならない撮影料が考えられます。

一般に公開されていない私有地など、立ち入りが禁止されている土地に入ってゲリラ撮影を行った場合にも、同様に考えることができます。

民事上は不法行為に基づく損害賠償責任を負います。また、刑事上も、建造物侵入罪や、撮影の態様によって威力業務妨害罪に処せられる可能性があることも同様です」

●一般に公開されている場所でも、問題となりうる

一般に公開されている場所で撮影するのであれば、問題はないのだろうか。

「そうとは言い切れません。たとえば、沖縄県の景勝地として有名な万座毛(まんざもう)でゲリラ撮影が行われた場合、業務妨害罪に当たる可能性があると考えられます。

業務妨害罪における『業務』とは、継続して行われる社会生活上の活動であれば足り、収入を得る目的でなくても当たり得ます。

また、万座毛は、沖縄海岸国定公園に含まれており、沖縄県が管理することとなっています。

沖縄県が万座毛を一般に公開しているのは観光客や地元客にその眺望を楽しんでもらうためでしょうから、ゲリラ撮影によって他の来訪者の観光等を妨害するに至る場合には、威力業務妨害罪に当たる可能性があるでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る