10298.jpg
「超一流に俺はなる!」自主的に長時間働いたら、その分の給料をもらえる?
2014年12月13日 14時29分

「ワークライフバランス」を気にする人は超一流になれないーー人気ブロガーのイケダハヤトさんが11月の終わりに公開したブログ記事のタイトルだ。仕事と私生活のバランスをとろうという「ワークライフバランス」の考え方に異を唱えるかのような内容で、議論を呼んだ。

イケダさんは「超一流(世界レベルで見ても、上位の能力を持った人材)になるのは、ほとんどの場合、寝食を忘れてそのことに圧倒的な時間を割いている人である」としたうえで、超一流になるためには、「『ワークライフバランス』という考えを、少なくとも10年は捨てる必要がある」と記している。

イケダさんの意見に対して、ネットでは「超一流の人ってセンスがあるから他の人よりも短い労働時間でさくっと結果だす」と反発する声がある一方で、「その通り。昔のように、ワークライフバランス気にせず何かに打ち込みたい」「どの業界でも超一流はクソワーカホリックなんだよね」と賛同する声も少なくない。

では、「超一流」を目指すサラリーマンが自主的に残業時間を増やし、長時間働き続けた場合、その時間の分だけ賃金を払ってもらえるのだろうか。労働問題にくわしい土井浩之弁護士に聞いた。

「ワークライフバランス」を気にする人は超一流になれないーー人気ブロガーのイケダハヤトさんが11月の終わりに公開したブログ記事のタイトルだ。仕事と私生活のバランスをとろうという「ワークライフバランス」の考え方に異を唱えるかのような内容で、議論を呼んだ。

イケダさんは「超一流(世界レベルで見ても、上位の能力を持った人材)になるのは、ほとんどの場合、寝食を忘れてそのことに圧倒的な時間を割いている人である」としたうえで、超一流になるためには、「『ワークライフバランス』という考えを、少なくとも10年は捨てる必要がある」と記している。

イケダさんの意見に対して、ネットでは「超一流の人ってセンスがあるから他の人よりも短い労働時間でさくっと結果だす」と反発する声がある一方で、「その通り。昔のように、ワークライフバランス気にせず何かに打ち込みたい」「どの業界でも超一流はクソワーカホリックなんだよね」と賛同する声も少なくない。

では、「超一流」を目指すサラリーマンが自主的に残業時間を増やし、長時間働き続けた場合、その時間の分だけ賃金を払ってもらえるのだろうか。労働問題にくわしい土井浩之弁護士に聞いた。

●キーワードは「指揮命令下」

「賃金の支払いがあるかどうかは、『自主的な仕事』がどういうものなのかによります。一般的に、いわゆる『ワークライフバランス論』でいう『ワーク』とは、使用者の明示または默示の指揮命令下の労働のことを言うようです」

このように土井弁護士は切り出した。自主的にやった仕事は、労働とは見なされないのだろうか?

「たとえば、はっきりと残業を命じられていなくても、ノルマがある等の理由で残業をしなくてはならないのであれば、使用者の指揮命令下にあると評価される可能性があります。

また、残業を命じられておらず、残業の必要性もなく、使用者の要求以上の仕事をするために残業している場合でも、労働時間にあたる可能性があります。それは、作業に業務性があり、会社内で残業をしている場合、使用者の指揮命令下にあると評価されうるからです。

こうした場合は、たとえそれが自主的だったとしても、その時間は労働時間になります。使用者は残業割増賃金を支払わなくてはならず、不払いには罰則があります」

土井弁護士はこのように述べる。自分の判断で残業しているからといって、会社が残業代を支払わなくてよいというわけではないようだ。

●勉強会や読書は「ライフ」の話

逆に、自主的に仕事をしているのに、残業代を払ってもらえないケースとは、どんなものだろうか?

「イケダハヤトさんは、『土日も勉強会に参加したり、異業種の尊敬できるプログラマーに会ってみたり、海外の本を読みあさったり』といった活動を『ワーク』と捉えているようです。しかし、一般的なワークライフバランス論でいうと、それは『ライフ』の領域の話です」

ということは、たとえ休日のほとんどを仕事に関連することに費やしていたとしても、本人が好きでやっていることなら「ワークライフバランス」がとれている、といえる可能性はあるわけだ。

「そもそもワークライフバランス論は、労働者が長時間労働を余儀なくされた結果、子育てや介護に支障が出た、過労死した、精神疾患になった、という現実をふまえた言葉です。

イメージとしては、睡眠不足の状態で、ノルマや納期に追われ、上司の叱責におびえながら残業をしているような状況です。そんな状態で長時間働いても、その人のスキルアップにはつながらないでしょう。

ワークライフバランスは、そうした悲劇を解消するために、労働者だけでなく使用者を含めた社会全体を啓発しようと用いられている言葉だと思います」

土井弁護士はこのように指摘していた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る