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第1志望の大学に合格したから「滑り止め」は辞退! 納めた「入学金」は返ってくる?
2014年02月20日 11時23分

大学入試シーズンまっただ中。私立大学の入試を終え、本命の国公立の試験に備える受験生も多いだろう。そんな受験生や親にとって、試験の次に悩ましいのは、合格した滑り止め校の「入学金」をどうするかという点ではないだろうか。

文科省によると、入学金の平均額は、私大文系で約25万円、理系で約26万円。気軽に支払える金額ではないだろう。しかも、悩ましいことに、多くの私大の納付期限が、国公立大の合格発表前だ。「いったん納められた入学金は返還しない」という記述のある募集要項もある。

本命の大学に合格すれば、滑り止めで受験した大学には入学する必要がない。そういうケースは多々あるはずだが……。そんな場合でも、いったん支払った入学金を返してもらうことはできないのだろうか。藤田城治弁護士に聞いた。

大学入試シーズンまっただ中。私立大学の入試を終え、本命の国公立の試験に備える受験生も多いだろう。そんな受験生や親にとって、試験の次に悩ましいのは、合格した滑り止め校の「入学金」をどうするかという点ではないだろうか。

文科省によると、入学金の平均額は、私大文系で約25万円、理系で約26万円。気軽に支払える金額ではないだろう。しかも、悩ましいことに、多くの私大の納付期限が、国公立大の合格発表前だ。「いったん納められた入学金は返還しない」という記述のある募集要項もある。

本命の大学に合格すれば、滑り止めで受験した大学には入学する必要がない。そういうケースは多々あるはずだが……。そんな場合でも、いったん支払った入学金を返してもらうことはできないのだろうか。藤田城治弁護士に聞いた。

●「入学金」は基本的に返還が認められない

「入学金の返還問題については、これまで多くの裁判があり、判断も分かれていましたが、2006年の最高裁判決で『結論』が出た形になっています」

どんな結論だろうか。

「簡単に言えば、次のような内容です。

大学では、授業や施設の利用に対する対価は、『授業料』と言います。一方、入学金は、『入学できる地位を取得するための対価』で、合格者を新入生として受け入れるための事務手続費用にも充てられるものだと、この判決では位置づけられました。

そのうえで、『入学金』は、(1)合格者が支払後に入学を辞退した場合も、基本的には返還は認められない。(2)例外として返還が認められるのは、入学金が『不当に高額』な場合だけ、という判断がなされたのです」

入学金を受け取った学校側は、合格者が実際に入学するかどうかとは関係なく手続きを開始するから、支払いも免れないということだろうか。受験生側にとっては厳しい答えだが……。

●「授業料」は返還されるのが原則

「一方で、『授業料』については、3月31日までに入学辞退すれば、原則返還が認められると判断されています。『いったん納入した以上は、理由の如何をとわず返還しない』といった定め(特約)があったとしても、原則無効になるでしょう」

どうしてそう言えるのだろうか?

「特約が無効となる根拠は、消費者契約法で無効とされている『平均的な損害の額を超える』ような違約金の定めにあたるからです」

このように藤田弁護士は説明する。具体的には、どういうことなのか。

「日本では3月下旬に国公立・私立大学の合格発表が出そろいます。学生は、そこで合格した大学の中から、特定の大学を選別して進学します。したがって、3月中であれば、ある大学に合格していても、その大学に学生が入学するのか、必ずしも分からない状態です。

ですから、その学生が入学しなかったとしても、大学には、『入るはずの授業料が失われた』という損害が生じたとはいえないのです。こうして、3月31日までの辞退の場合、この特約は、『平均的な損害を超える』違約金の定めとして、無効になります」

これは、一般入試の場合だ。だが、特別な方式の入試については事情が異なるという。

「AO入試や推薦入試など、『合格したら入学する』という確約が出願資格となっているような場合、大学としては、合格者は大学に入学する可能性が高いと判断します。そのため、辞退されると、他の者を入学させて損失を補填することが困難となります。

したがって、初年度分の授業料相当の損害が大学に生じるので、特約が有効とされ、3月31日までの辞退でも、授業料の返還は求められません」

合格したら合格したで悩むことがあるのが、大学受験というものだ。どの大学を受験すべきかを考える際には、大学のレベルや学科の内容だけでなく、入学金の金額や授業料の返還可能性も、考慮する必要があるのだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

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