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同性婚訴訟、請求棄却でも「すごく大きな一歩」 違憲状態判断に「今すぐ法改正に動いて」国会にも注文
2022年11月30日 19時56分

同性婚が認められていないのは憲法に違反するとして、複数の同性カップルが国に賠償を求めた訴訟で、東京地裁(池原桃子裁判長)は11月30日、原告らの請求を棄却したものの、同性カップルが家族になるための法制度がないことは憲法24条2項に違反する状態と判断した。

この訴訟は、東京や大阪など全国5つの裁判所で争われている一連の同性婚訴訟の一つで、判決は今回で3例目。2021年3月の札幌地裁判決は「合理的な根拠を欠く差別的な取り扱いだ」として憲法14条に反するとの判断を示す一方、2022年6月の大阪地裁判決は合憲とする判断していた。

判決は、同性愛者についてパートナーと家族になるための法制度が存在しないことについて、「同性愛者の人格的生存に対する重大な脅威、障害」という表現で違憲状態であるとの判断を示した。

判決後に開かれた会見で、原告の一人である小川葉子さんは「違憲状態であることを明言されたのは、すごく大きな一歩である」と評価する一方、「裁判長がここまで言ってくれたのは嬉しかったけれども、もう一声欲しかったかな」と述べ、現行の法規定を違憲とまでは判断しなかったことに対する複雑な心情を明かした。

同性婚が認められていないのは憲法に違反するとして、複数の同性カップルが国に賠償を求めた訴訟で、東京地裁(池原桃子裁判長)は11月30日、原告らの請求を棄却したものの、同性カップルが家族になるための法制度がないことは憲法24条2項に違反する状態と判断した。

この訴訟は、東京や大阪など全国5つの裁判所で争われている一連の同性婚訴訟の一つで、判決は今回で3例目。2021年3月の札幌地裁判決は「合理的な根拠を欠く差別的な取り扱いだ」として憲法14条に反するとの判断を示す一方、2022年6月の大阪地裁判決は合憲とする判断していた。

判決は、同性愛者についてパートナーと家族になるための法制度が存在しないことについて、「同性愛者の人格的生存に対する重大な脅威、障害」という表現で違憲状態であるとの判断を示した。

判決後に開かれた会見で、原告の一人である小川葉子さんは「違憲状態であることを明言されたのは、すごく大きな一歩である」と評価する一方、「裁判長がここまで言ってくれたのは嬉しかったけれども、もう一声欲しかったかな」と述べ、現行の法規定を違憲とまでは判断しなかったことに対する複雑な心情を明かした。

●地裁「憲法24条1項、14条には違反しない」

裁判では、同性同士の結婚を認めていない民法および戸籍法の規定(以下「法規定」)が「法の下の平等」(憲法14条)や「婚姻の自由」(憲法24条)を保障している憲法に反するかどうかが主に争われた。国側は「憲法は同性婚を想定していない」などとして、現行法は憲法違反ではないと主張していた。

判決はまず、近時は同性愛に対する差別や偏見を克服しようとする動きがあるなど社会状況は変わっていると指摘するも、現段階では憲法24条にいう「婚姻」とは異性間の婚姻を指し、同性間の婚姻を含まないとして、法規定は「憲法24条1項には違反しない」と判断した。

また、法規定によって、同性愛者は法律婚制度を利用することができず、婚姻による法的効果等を受けられない不利益があるとしたものの、同性婚を認めていないのは憲法24条1項の法律婚制度の構築に関する要請に基づくものであるから、「区別して取り扱うことには合理的な根拠がある」として、憲法14条1項に違反しないとした。

●「人格的生存に対する重大な脅威、障害」

一方で、憲法24条は、同性婚を法律婚制度に含めることに何ら触れておらず、同性婚を認める立法や法律婚に類する制度を構築することなどを禁止するものではないとしたうえで、婚姻によって家族を形成することは、「当事者の人生に充実をもたらす極めて重要な意義を有し、その人生において最も重要な事項の一つである」と指摘。

家族としての法的保護や社会的公証を受ける利益は、同性愛者にとっても同じく「個人の尊厳に関わる重要な人格的利益」であり、「特定のパートナーと家族になるという希望を有していても、同性愛者というだけでこれが生涯を通じて不可能になることは、その人格的生存に対する重大な脅威、障害である」として、同性カップルが家族になるための法制度がないことは「憲法24条2項に違反する状態にある」と判断した。

ただし、法制度の構築については多様なものが想定されるとして、立法裁量に委ねられており、必ずしも現行の婚姻制度に同性婚を含める方法に限られないことから、「同性婚を認めていない法規定が憲法24条2項に違反すると断ずることはできない」とした。

●国会に注文「速やかに法改正に動いてほしい」

オンラインで会見に臨んだ原告の小野春さんは、「子どもを育てている(同性カップルの)家庭もあることなどについて明言してくれたことが嬉しかった」と話した。

「我が家はパートナーの西川(麻実さん、原告の一人)と3人の子どもたちを育ててきて、子どものためにという思いがあったので、(裁判所が判決で)『養育される子も含めた共同生活の安定』という言葉を使って、違憲状態であるという点を説明してくれたことが印象に残りました」

小野さんは、判決が同性カップルが家族となるための制度について立法府で議論・検討すべきと指摘したことに着目。議論が進んでいない立法府に対して、「今回の判決を受けて、立法府は『変わらなければならないんだ』と真摯に受け止めてくれることを期待したい」と述べた。

原告弁護団は、判決について、「高く評価できるもの」との声明を発表。「国は、本判決を真摯に受け止め、(民法および戸籍法の)規定の改正に直ちに着手し、婚姻の扉を同性カップルに速やかに開かなければならない」とする。

原告弁護団によると、今後の対応について検討中ではあるものの、「おそらく控訴する」方針だという。

弁護団の一人である寺原真希子弁護士は、今回の判決を「(控訴した際の)東京高裁により明確に違憲と言ってもらうためのトス」と表現した。

「地裁判決の意図を汲み取って、東京高裁では必ず明確な違憲判決を獲得するための過程なのだと捉えています」

そのうえで、国会に対しては、「(違憲状態と判断されたことで)速やかに法改正のために動く義務があるので、ぜひやってもらいたい」と注文をつけた。

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