10655.jpg
シリア渡航計画のフリーカメラマン敗訴、「旅券返納命令」取り消し請求棄却…東京地裁
2017年04月19日 16時08分

シリアへの渡航を計画したとして、外務省にパスポート(旅券)を強制返納させられた新潟在住のフリーカメラマン、杉本祐一さん(60)が、国を相手取り、旅券返納命令と渡航先制限の取り消しを求めていた裁判の判決が4月19日、東京地裁であった。古田孝夫裁判長は、杉本さんの請求を棄却した。

杉本さんは2015年2月、中東の過激派組織「イスラム国」が勢力を伸ばしていたシリアに渡航して現地を取材する計画を立てていたところ、外務省からパスポートの返納を命じられた。その後、同年4月に新しいパスポートを発給されたが、イラクとシリアへの渡航制限が付いていたことから、「取材の自由」に反するなどとして、同年7月に提訴した。

杉本さん側は「渡航予定の地域は当時、クルド人組織の管理下にあり、ジャーナリストを対象にしたプレスツアーが開かれて、日本の報道機関の記者も参加していた。生命・身体に危害が及ぶ具体的危険性はなかった」と主張した。しかし、古田裁判長は「原告の生命・身体の安全を優先して保護しようとした外務大臣の判断が不当であるとはいえない」などとして、杉本さんの請求を棄却した。

杉本さんは、この日の判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた。判決について、「非常に残念でショックを受けている」と感想を述べた。一方で、「報道機関にも及ぶような前例をつくってしまうことになる。そういうことはあってはならない」と強く訴えた。杉本さん側は判決を不服として、控訴する方針。

(弁護士ドットコムニュース)

シリアへの渡航を計画したとして、外務省にパスポート(旅券)を強制返納させられた新潟在住のフリーカメラマン、杉本祐一さん(60)が、国を相手取り、旅券返納命令と渡航先制限の取り消しを求めていた裁判の判決が4月19日、東京地裁であった。古田孝夫裁判長は、杉本さんの請求を棄却した。

杉本さんは2015年2月、中東の過激派組織「イスラム国」が勢力を伸ばしていたシリアに渡航して現地を取材する計画を立てていたところ、外務省からパスポートの返納を命じられた。その後、同年4月に新しいパスポートを発給されたが、イラクとシリアへの渡航制限が付いていたことから、「取材の自由」に反するなどとして、同年7月に提訴した。

杉本さん側は「渡航予定の地域は当時、クルド人組織の管理下にあり、ジャーナリストを対象にしたプレスツアーが開かれて、日本の報道機関の記者も参加していた。生命・身体に危害が及ぶ具体的危険性はなかった」と主張した。しかし、古田裁判長は「原告の生命・身体の安全を優先して保護しようとした外務大臣の判断が不当であるとはいえない」などとして、杉本さんの請求を棄却した。

杉本さんは、この日の判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた。判決について、「非常に残念でショックを受けている」と感想を述べた。一方で、「報道機関にも及ぶような前例をつくってしまうことになる。そういうことはあってはならない」と強く訴えた。杉本さん側は判決を不服として、控訴する方針。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る