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精神疾患の労災認定が過去最多、コロナ対応で「医療従事者」のさらなる増加も懸念
2020年07月08日 10時31分

精神疾患の労災認定が、過去最多にのぼりました。

厚生労働省は6月26日、仕事による強いストレスが原因でうつ病などの精神疾患にかかり、2019年度に労災申請したのは2060件、労災認定されたのは509件で、いずれも統計開始以降最多だったと発表しました

請求件数を業種別にみると、「医療,福祉」426件、「製造業」352件、「卸売業,小売業」279件の順に多く、年齢別では、請求件数は「40~49歳」639件、「30~39歳」509件、「20~29歳」432件でした。

なぜ精神障害に関する労災申請が増えているのでしょうか。また、過去最多という数字をどう評価すべきなのでしょうか。労働問題に詳しい波多野進弁護士に聞きました。

精神疾患の労災認定が、過去最多にのぼりました。

厚生労働省は6月26日、仕事による強いストレスが原因でうつ病などの精神疾患にかかり、2019年度に労災申請したのは2060件、労災認定されたのは509件で、いずれも統計開始以降最多だったと発表しました

請求件数を業種別にみると、「医療,福祉」426件、「製造業」352件、「卸売業,小売業」279件の順に多く、年齢別では、請求件数は「40~49歳」639件、「30~39歳」509件、「20~29歳」432件でした。

なぜ精神障害に関する労災申請が増えているのでしょうか。また、過去最多という数字をどう評価すべきなのでしょうか。労働問題に詳しい波多野進弁護士に聞きました。

●労災の認知が広まった

ーーなぜ精神障害に関する労災申請が増えているのでしょうか

従前より精神疾患の労災の認知が広まったこと、精神疾患に対する一昔前の偏見がましになったこと、そして何より長時間労働やハラスメントといった業務上のストレスが職場に蔓延しているということだと思います。

ーー波多野弁護士は労災申請事案を多く担当していますが、この5年で変化を感じますか

精神疾患の労災を担当している弁護士の実感として、若い世代の労災事案が以前より増えています。請求件数を年齢別に見ても、19歳以下の比率は2018年度に18.2%だったのが、2019年度は21%となっています。

企業側も昔のように教育する余裕もなく、新人や若い世代には厳しい労働環境になっているのではないかと思います。

ーー今回の過去最多という数字を、どのように評価しますか

もともと潜在的に存在した事案が、労災の認定基準の策定や精神疾患の理解が重なって顕在化して申請が増えたのと、職場の環境・労働実態が悪いことも重なったのだと思われます。

ーー請求件数を業種別に見ると、医療関係がもっとも多い結果となりました

中でも医療関係の方の数が多いのは、医師、看護師といった医療に携わる方々の人手不足、その結果としての長時間労働、専門職としてのストレスの高さから、追い詰められる医療労働者の方々が多いと推測されます。

日本赤十字医療センターの調査では、コロナ患者の対応にあたった医療従事者のうち、3割近くがうつ状態になっていたとの報道もあります。

コロナ患者の治療や看護という未経験で感染の危険の高い業務は、所定労働時間でもストレスが高いうえ、労働時間も通常より多くなっていると考えられます。このまま対策を取らないと、精神疾患の危険はさらに高まることが危惧されます。

●早期の受診、休養が重要

ーー仕事が原因で精神疾患にかかった人は、どうすべきでしょうか

うつ病などの精神疾患は症状の重い軽いにかかわらず、命に関わることもありますので、早期の受診、休養などが重要だと思います。

精神疾患で働くのが困難な状況の方であればあるほど、退職せずに在籍しながら休職などで対応するのが望ましいことが多いです。

退職を急いでも働くのが困難ですし、在職しながら休職制度、年次有給休暇、各種制度を活用するのが賢明と思います。コロナ関係で就業状況が悪化しており、退職しても再就職が以前より難しくなっているので、なおさらです。

また、コロナ感染の疑いやコロナ感染を理由として過剰とも言える自宅待機命令や退職勧奨の相談も増えています。そのような場合でも、まずは在職しながら早めに労働問題をよく担当している弁護士に相談することを検討するのが望ましいと思います。

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