10685.jpg
悪質クレーマーには「刑事告訴も辞さない態度を」…土下座強要、大声など7割が経験
2017年12月04日 09時56分

客の悪質クレーム(迷惑行為)の問題が深刻化しているようだ。外食や流通などの労働組合でつくる産別労組「UAゼンセン」が、スーパーや百貨店などで働く人にアンケートをとったところ、約7割が業務中に悪質クレームを受けたことがあると回答した。

UAゼンセンは今年6月〜7月、加盟組合に対して、アンケート調査をおこなった。5万878人から回答を得て、このうち約7割にあたる3万6002人が悪質クレームを受けたと答えた。内容としては、暴言が2万4107人、何回も同じ内容を繰り返すクレームが1万4268人、土下座の強要が1580人だった。

弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも、「クレーマーが毎日のように職場にやってきて、他の客の前で大声で叱責してくる」「店内で転倒した客の家族からなぐられた」といった相談が寄せられている。

UAゼンセンは11月中旬、厚労省に対して、悪質クレームの対策を求める要請書を提出した。今後は「お客様は神様だ」といわれてきた風潮も変化していくかもしれない。現状、こうした悪質クレームはどう食い止めればいいのだろうか。飲食店の問題にくわしい石崎冬貴弁護士に聞いた。

客の悪質クレーム(迷惑行為)の問題が深刻化しているようだ。外食や流通などの労働組合でつくる産別労組「UAゼンセン」が、スーパーや百貨店などで働く人にアンケートをとったところ、約7割が業務中に悪質クレームを受けたことがあると回答した。

UAゼンセンは今年6月〜7月、加盟組合に対して、アンケート調査をおこなった。5万878人から回答を得て、このうち約7割にあたる3万6002人が悪質クレームを受けたと答えた。内容としては、暴言が2万4107人、何回も同じ内容を繰り返すクレームが1万4268人、土下座の強要が1580人だった。

弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも、「クレーマーが毎日のように職場にやってきて、他の客の前で大声で叱責してくる」「店内で転倒した客の家族からなぐられた」といった相談が寄せられている。

UAゼンセンは11月中旬、厚労省に対して、悪質クレームの対策を求める要請書を提出した。今後は「お客様は神様だ」といわれてきた風潮も変化していくかもしれない。現状、こうした悪質クレームはどう食い止めればいいのだろうか。飲食店の問題にくわしい石崎冬貴弁護士に聞いた。

●刑事告訴も辞さない毅然とした態度が必要だ

「どのようなクレームを『悪質』というかは別として、たしかに難癖のような、法的に理由のない主張をしつこく繰り広げる人が増えているようですね。私自身、クライアントからそのような相談が増えている印象があります。

悪質なクレーマーへの対応方法は1つです。不当な要求に対して、はっきりと『NO!』ということです。エスカレートするようであれば、刑事告訴も辞さない毅然とした態度が必要になります」

法的にはどのような対応ができるのだろうか。

「店舗の場合、まずその客との取引きを停止して、今後の来店を断ることからでしょう。来店を拒否したという事実を残すために、書面を手渡すこともあります。

私の場合、クライアントから相談があったら、すべて私を窓口にしてもらうように言っています。私自身、最初は電話などで丁寧に応対するように心がけていますが、あまりに非常識だったり、恫喝するような言動がみられるようであれば、その後はすべて書面やメールなどでのやり取りを求めています。

それでも直接店舗に訪れたり、電話をかけ続けるようであれば、民事事件にとどまらず、威力業務妨害などでの刑事告訴もありえます。実際に、店員に土下座をさせたとして、強要罪で逮捕されたという報道もありましたよね」

●悪質なクレーマーは「お客様」ではない

もし会社側が、そんなクレーマーにきちんとした対応をとらず放置した場合、責任はないのだろうか。

「悪質なクレーマーがいるにもかかわらず、会社が適切な対応をとらず、従業員個人任せにしたことで、従業員に精神疾患が発生したとなると、職場の環境をしっかりと調整しなかったということで、会社側に損害賠償義務が生じる可能性があります。

そこまで至らずとも、会社全体の士気に影響がありますから、会社としては『従業員を守る』という姿勢をしっかりと打ち出すことが必要です」

「お客様は神様」という風潮を変える時期にきている?

「私の印象としては、会社のほうが『お客様は神様』という言葉にとらわれてしまっていると思います。本当に悪質なクレーマーは『お客様』ではありません。『できないことは、できない』と会社がしっかりと対応しないと、さらに新たなクレーマーを生み出すことにもなりかねません。

私自身、飲食店のクライアントがほとんどであるため、このような相談は日々あります。すべて毅然と対応したほうがよいとアドバイスしています。もし対応に苦慮したら、すぐに専門家に相談することをおすすめします」

【情報募集!】弁護士ドットコムニュースでは、迷惑な「クレーマー」客に関する取材を続けています。「理由もなく客から罵倒された」「入店禁止にしてしまった」「写真を撮られてネットに載せられた」「イライラしていて店員に八つ当たりしてしまった」などの体験や目撃談がありましたら、以下からLINE友だち登録をして、ぜひご連絡ください。

友だち追加

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る