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今井絵理子議員の交際宣言「不倫」は否定、一線超えない「手つなぎ」でも法的リスクはある?
2018年10月07日 09時03分

人気アイドルグループ「SPEED」の元メンバーで参院議員の今井絵理子氏が10月3日、昨年夏に不倫疑惑が報じられた元神戸市議の橋本健被告人と交際していることを自身のブログで公表しました。しかし、一方で不倫や略奪愛は否定、不法行為もないとして、橋本被告人の離婚成立後に交際が始まったと説明しています。

もともと、今井議員の「不倫疑惑」は、昨年7月に週刊新潮で、新幹線で橋本被告人と一緒に手をつなぎながら眠っている写真が掲載されたことが発端でした。その際にも、「一線は超えていない」と不貞行為を否定していました。

では、一般論として、手をつなぐだけで「一線を超えていない」男女関係は、本当に不貞行為や不法行為にあたらず、法的リスクはないのでしょうか。原口未緒弁護士に聞きました。

人気アイドルグループ「SPEED」の元メンバーで参院議員の今井絵理子氏が10月3日、昨年夏に不倫疑惑が報じられた元神戸市議の橋本健被告人と交際していることを自身のブログで公表しました。しかし、一方で不倫や略奪愛は否定、不法行為もないとして、橋本被告人の離婚成立後に交際が始まったと説明しています。

もともと、今井議員の「不倫疑惑」は、昨年7月に週刊新潮で、新幹線で橋本被告人と一緒に手をつなぎながら眠っている写真が掲載されたことが発端でした。その際にも、「一線は超えていない」と不貞行為を否定していました。

では、一般論として、手をつなぐだけで「一線を超えていない」男女関係は、本当に不貞行為や不法行為にあたらず、法的リスクはないのでしょうか。原口未緒弁護士に聞きました。

●不倫の法的リスクは「不貞行為」と「不法行為」

「不倫で考えられる法的なリスクとは、『不貞行為』と『不法行為』の2つです。そこで、プラトニックな不倫でもそのリスクはあるかどうか、検討してみましょう」

まず1つ目の「不貞行為」について。「手をつなぐだけ」という関係でも、不貞行為となる可能性はあるのでしょうか?

「『不貞行為』とは、離婚理由となる肉体関係のある浮気のことです。ですので、『手をつなぐまで』という関係であれば、法的には不貞行為には該当しません。そこで、このことだけで、相手の方の奥さんから不貞行為に基づく慰謝料請求を受けたり、自分の夫から離婚を請求されたりする理由にはなりません。

つまり、不貞行為に該当するリスクはないと言えます」

では「不法行為」という観点からはどうでしょう?

「損害賠償請求できる『不法行為』とは何かは、民法709条に定められています。民法709条では、『故意又は過失によって、他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う』と定められています。

この条文だけを読むと、わかりづらいですよね。具体的に言えば、浮気が発覚したら、その配偶者は傷つくでしょう。その場合、配偶者の浮気により精神的な損害を生じた、つまり『他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した』として、浮気相手に対して、いわゆる慰謝料を請求できるのです。

では、プラトニックな関係でも、不法行為に該当するのでしょうか。結論から言えば、肉体関係がなくても不法行為に該当することはあり得る、ということになります。不法行為に該当すると断定できないのは、実は裁判所でも、判断が割れているからです。

1度きりでも肉体関係があれば明らかな不法行為でしょう。ただ、肉体関係はなくても、そのことが理由となって、別居に至った、離婚することになった。あるいは、期間や関係の深さによっては、肉体関係がなくても不法行為に該当する可能性があります」

●「性交渉をしない関係」で慰謝料の支払い命令

今井議員は、橋本被告人の離婚原因は別にあると説明していました。ところで、原口弁護士は、プラトニック不倫事案を担当したことがあるそうですね。

「以前、プラトニックな不倫関係について争った案件を担当したことがあります。夫(A男)と不貞行為をしたとして、その妻(B子)が相手の女性(C美)を相手取って慰謝料請求をしたのです。しかし実は、訴えられたC美さんは、健康上の理由で性交渉を行うことができません。

妻のB子さんは、夫のA男とC美は、性交渉を伴う不倫関係にあると疑っていました。そこで、C美さんは性交渉ができないことを主張したり、証明したりしたのですが、結局のところ、A男さんとC美さんのメールのやり取りの内容がかなり親密なものであったため、裁判官は、肉体関係のある一般的な不倫とあまり変わらない金額の慰謝料の支払いを命じました」

肉体関係がなければ、大丈夫と考えている人も多そうです。

「結局のところ、仮にプラトニックな関係であっても、それにより相手や自分が離婚することになった場合には、慰謝料請求をされる可能性はありますので、十分に気をつけてください」

(弁護士ドットコムニュース)

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