10782.jpg
iPad、モバイルルーター、会社支給なく「自費購入」…通信費ぐらい請求できない?
2017年06月28日 10時11分

iPhone、iPad、Wi-Fiルーター。この3つが、都内会社員のアユミさん(32)にとって業務で欠かせない三種の神器だ。メディア関連企業の企画営業職として駆け回るアユミさんは、移動時や客先での打ち合わ時に必需品だという。しかし、「全部自腹です。本体も月々の通信量も・・・」と強い不満を抱いている。

アユミさんが勤務する会社では、Wi-Fiルーター(通信費込み)が支給されている部署もあるそうだ。そこで、直属の上司にかけあったが「俺は使っていないし、『あれば便利』程度のものに、経費は使えないよ」と言われた。しかし、PCの持ち出しができず、移動中もメールなどの対応に追われたり、外での打ち合わせ時には欠かせない。

アユミさんは「せめて機種代は無理でも、通信費は支払ってもらえないか」と考えている。業務上、必要なものに関しては、経費を請求できないだろうか? 森田梨沙弁護士に聞いた。

iPhone、iPad、Wi-Fiルーター。この3つが、都内会社員のアユミさん(32)にとって業務で欠かせない三種の神器だ。メディア関連企業の企画営業職として駆け回るアユミさんは、移動時や客先での打ち合わ時に必需品だという。しかし、「全部自腹です。本体も月々の通信量も・・・」と強い不満を抱いている。

アユミさんが勤務する会社では、Wi-Fiルーター(通信費込み)が支給されている部署もあるそうだ。そこで、直属の上司にかけあったが「俺は使っていないし、『あれば便利』程度のものに、経費は使えないよ」と言われた。しかし、PCの持ち出しができず、移動中もメールなどの対応に追われたり、外での打ち合わせ時には欠かせない。

アユミさんは「せめて機種代は無理でも、通信費は支払ってもらえないか」と考えている。業務上、必要なものに関しては、経費を請求できないだろうか? 森田梨沙弁護士に聞いた。

●私物端末を業務で利用する「BYOD」

「労働者が私物のスマートフォンやタブレットなどの端末を業務に利用することをBYOD(Bring Your Own Device)とも言います。

しかし本来的には、業務に必要な機器類は会社が用意すべきであり、個人所有の機器を利用する場合には、労使でルールを決めておくことが望ましいと言えます。特に、その費用を労働者側の負担とする場合には、その内容を就業規則で定めておく必要があるでしょう(労働基準法89条5号)。

何も取決めがない場合は、そもそも会社支給品以外の利用が禁止されていないか、確認する必要があります(禁止されていれば当然労働者負担となります)。禁止されていない場合でも、機器類はあくまで労働者の所有物なので、機種代は労働者の負担となるのが原則です。

通信料についても、今回、会社は、企画営業職である相談者の業務に関し、端末の利用を必要とは認めていないわけですから、相談者が会社に対し、その通信料を請求することは、法律的には難しいと思われます」

いくら「業務で使うことが必須」という状況にあっても、認められるのは難しいのだろうか。

「あくまで従業員は、会社に与えられた環境の中で、業務に当たらざるを得ないということです。また、会社の許可なく私物端末を利用して、セキュリティーの問題が発生したときのリスクというのも、考えておく必要があります。

とはいえ、現実問題としてそれらの端末を使わずに仕事をすることは難しいというのが、相談者の実感なのだと思います。相談者としては、他の営業職と同様、企画営業にも端末を利用した通信環境が必要であるということを会社に理解してもらえるよう、掛け合って頂くしかないということになります」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る