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性犯罪で実刑判決受け「保釈中」に再び強姦、裁判所の保釈判断をどう考えたらいい?
2017年03月23日 09時38分

連続強姦致傷事件で懲役9年の実刑判決を受けて控訴中に保釈され、再び別の女性に乱暴したとして、強姦と監禁の罪に問われていた裁判で、東京地裁は3月21日、無罪を主張していた被告人の男性に懲役4年6月(求刑・懲役7年)の判決を言い渡した。

報道によれば、判決では「別の事件で控訴している最中に犯行に及んだもので、法を守る意識が低下している」と厳しく批判した。なお、控訴していた事件については2016年6月、控訴が退けられ、刑が確定している。

保釈中に被告人が事件を起こしたことから、「なぜ保釈が認められたのか」という意見が、ネット上には多く見られた。性犯罪で実刑判決を受けた被告人の保釈がなぜ、認められるのだろうか。小笠原基也弁護士に聞いた。

連続強姦致傷事件で懲役9年の実刑判決を受けて控訴中に保釈され、再び別の女性に乱暴したとして、強姦と監禁の罪に問われていた裁判で、東京地裁は3月21日、無罪を主張していた被告人の男性に懲役4年6月(求刑・懲役7年)の判決を言い渡した。

報道によれば、判決では「別の事件で控訴している最中に犯行に及んだもので、法を守る意識が低下している」と厳しく批判した。なお、控訴していた事件については2016年6月、控訴が退けられ、刑が確定している。

保釈中に被告人が事件を起こしたことから、「なぜ保釈が認められたのか」という意見が、ネット上には多く見られた。性犯罪で実刑判決を受けた被告人の保釈がなぜ、認められるのだろうか。小笠原基也弁護士に聞いた。

●「必要的保釈」と「裁量保釈」

「保釈には、短期1年以上の懲役にあたる罪を犯した場合や、罪証隠滅のおそれがある場合など、法律が定めた例外事由にあたらない限りは、必ず保釈が認められる『必要的保釈(権利保釈)』と、裁判所が適当と認めるときに職権で保釈を許可する『裁量保釈』があります。

性犯罪に限らず、第1審で実刑判決を受けて控訴中は、逃亡のおそれが原則として高いため、『必要的保釈』は適用されないとされています。保釈されるとすれば、『裁量保釈』しかありえないことになります」

それぞれ、具体的にどのような場合、保釈が認められるのだろうか。

「『裁量保釈』は、裁判所が『適当と認めるとき』にできるとされています。

一方で、実刑判決後の『裁量的保釈』は、判決前に比べて認められにくいですが、次のような場合には認められることがあります。例えば、定職に就いていること、扶養や介護すべき家族がいたりすること、あるいは、医療の必要性があることなど、一度社会に戻す必要性がある場合で、監督できる家族がいるなど逃亡防止のための措置がしっかりしている場合です。

なお、実刑判決後の裁量保釈の場合、保釈金も高額になる傾向があると思います」

●厳格に運用すべきなのか?

性犯罪のような再犯の恐れのある事件では、保釈を認めるべきではないとの声もある。

「勾留は、刑ではなく、罪証の隠滅や逃亡を防ぐためのものであり、例えば見せしめ(一般予防)や再犯防止(特別予防)などのそれ以上の役割を与えて、保釈を認めないことは、許されないと考えます。

日本の場合、『人質司法』との批判のとおり、捜査中・裁判中を通して勾留が認められやすい上、一度認められれば身柄拘束が極めて長くなる傾向があります。保釈は『人質司法』への対抗手段としては重要な役割を担っているため、保釈を必要以上に厳格に運用することは許されませんし、裁判所としては、このような事件があったからと言って、保釈に消極的にならないでほしいと思います」

今回のような事態を招かないために、何が必要か。

「本件は、被告人本人が否認しているので、あくまで一般論として指摘します。

保釈制度の運用とは別に、同じ犯罪を繰り返すような場合には、その背景に何があるのかを見極める必要があります。その後の処遇、さらにはその人の更生(再犯予防)のために必要なことであり、捜査や裁判の中でできるだけ明らかにされなければならないと思います。

また、保釈中に再犯を犯すことは、被告人のためにはならないことは明らかです。弁護人としても、犯罪を繰り返す背景を見極め、家族や医療・福祉などと連携して、更生を目指すことが必要だと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

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