10886.jpg
小犬にほえられて階段から転落、飼い主に治療費を請求できる?【小町の法律相談】
2015年07月03日 16時43分

外出中に犬に突然ほえられると、びっくりしてしまいます。もし、転んでけがを負った場合、飼い主に治療費を請求することはできるのでしょうか。YOMIURI ONLINEの掲示板「発言小町」に寄せられた質問について、鈴木智洋弁護士に聞きました。

外出中に犬に突然ほえられると、びっくりしてしまいます。もし、転んでけがを負った場合、飼い主に治療費を請求することはできるのでしょうか。YOMIURI ONLINEの掲示板「発言小町」に寄せられた質問について、鈴木智洋弁護士に聞きました。

<寄せられた質問>

先日、祖母が外出のため、アパートの階段を下りようとした時のこと。同じアパートの住人のAさんがちょうど階段を上がってきたそうです。Aさんは小犬を抱きかかえており、祖母とすれ違う際、その小犬が突然、祖母に向かってほえたのです。驚いた祖母は、階段から足を踏み外し、階下に転落してしまいました。

倒れたまま痛がる祖母に、Aさんは「大丈夫ですか?」と声をかけたものの、祖母が「大丈夫です」と答えると、そのまま自分の部屋に戻っていったそうです。その後、祖母は病院に行き、右腕の骨折や打撲などのけがをしていることがわかりました。

いくら大丈夫と言われたからといって、祖母を助けようともせずに部屋に戻ったAさんを腹立たしく思います。Aさんに治療費や慰謝料などを請求することは可能でしょうか?

(この質問は、発言小町に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部が再構成したものです)

<鈴木智洋弁護士の回答>

「飼い主がどの程度注意していたのかによります」

民法では、動物の占有者は、第三者に与えた損害を賠償しなければならないとされています。ですから、ペットが第三者にかみついたり、吠えかかったりしてけがをさせてしまった場合、Aさんが責任を負う可能性はあります。

ただし、民法では、動物の占有者は動物の種類、性質にしたがって相当な注意を払っていれば、責任を負わないとされています。今回の相談例でも、Aさんが飼っていたのは子犬のようですし、普段からあまり吠えないとか、すれ違う際に吠えないように子犬の顔を押さえていたなどの事情があれば、Aさんが責任を負わない可能性もあります。

なお、Aさんがその場を立ち去ったことについては、腹立たしく思う気持ちは理解できますが、Aさんがその場を立ち去ったことによって、あなたの祖母が骨折や打撲をしたというわけではありませんので、立ち去ったこと自体は不法行為とならないでしょう。せいぜい、慰謝料の額を検討する際の一事情ということになると思います。

Aさんが責任を負う場合に支払う損害賠償の範囲についても触れておきます。治療費は当然ですが、病院への通院費用や慰謝料など、関係のある損害については支払ってもらえることになるでしょう。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る