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金融庁が「監査法人ローテーション制」検討 「不正会計」チェック機能は強化される?
2016年03月31日 12時48分

東芝の不正会計問題を受け、金融庁は、企業の会見監査を担う「監査法人」を定期的に交代させる制度の検討を始めた。企業と監査法人の馴れ合いを防ぐことで、再発防止につなげる。

この問題では、東芝だけでなく、不正を見抜けなかった監査法人の責任も問われている。金融庁は事件の要因について、担当した新日本監査法人が長年にわたって東芝やその子会社を受け持っていたため、「東芝側の説明や提出資料に対して、批判的な観点からの検証が十分に実施できなかった」などと分析している。

監査法人が定期的に変われば緊張感が生まれ、批判的なチェックがやりやすくなるようにも思える。チェック機能は強化されるのだろうか。公認会計士資格をもつ山本邦人税理士に聞いた。

東芝の不正会計問題を受け、金融庁は、企業の会見監査を担う「監査法人」を定期的に交代させる制度の検討を始めた。企業と監査法人の馴れ合いを防ぐことで、再発防止につなげる。

この問題では、東芝だけでなく、不正を見抜けなかった監査法人の責任も問われている。金融庁は事件の要因について、担当した新日本監査法人が長年にわたって東芝やその子会社を受け持っていたため、「東芝側の説明や提出資料に対して、批判的な観点からの検証が十分に実施できなかった」などと分析している。

監査法人が定期的に変われば緊張感が生まれ、批判的なチェックがやりやすくなるようにも思える。チェック機能は強化されるのだろうか。公認会計士資格をもつ山本邦人税理士に聞いた。

●「中小監査法人は倒産も」

「確かに監査法人のローテーション制度には、監査法人と企業の癒着を防いだり、監査手続のマンネリ化による緊張感の欠如を防いだりするメリットはあるでしょう。しかし一方で、デメリットも多く考えられます」

どんなデメリットがあるのか。

「まず、監査の品質面から考えると、監査法人交代後の数年間は監査先に対する理解が追いつかず監査の品質が低下し、より大きな問題を見逃すことになりかねません。また、監査の効率も悪くなるため、企業側にも監査費用および対応時間の負担が増加します。

加えて、現在の上場企業の監査は4大監査法人の寡占状態であり、その中で一定期間ごとに監査法人が交代することは、物理的に難しいという問題もあります。

中小監査事務所では交代制によりクライアントを手放すことにつながり、倒産することも考えられます」

●「企業から監査報酬をもらっている限り解決しない」

では、交代制以外に、どんな方法が考えられるだろうか。

「監査法人が企業から監査報酬をもらっている限りは、監査法人の独立性の問題は解決しないと思われます。たとえば、会計士協会が企業から報酬を受け取り、会計士協会が監査の品質に応じて監査法人に分配する方式を取ることができれば、監査法人の独立性が向上するでしょう。

また、会計士資格を更新制にして、一定水準の倫理観、知識、経験が認められなければ、監査ができないようにすることも必要でしょう」

山本税理士はこのように話していた。

【取材協力税理士】

山本 邦人(やまもと・くにと)税理士

監査法人にて経営改善支援業務に従事した後、2005年に独立。現在は中小企業を中心に160件を超えるクライアントの財務顧問として業務を行う。税金面だけではなく、事業の継続的な発展という全体最適の観点からアドバイスを行う。

事務所名:山本公認会計士・税理士事務所

事務所URL:http://accg.jp

(弁護士ドットコムニュース)

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