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万引き少年を減らせ!古本屋や中古ゲーム店の「買取防止対策」 が必要なワケ
2013年07月21日 18時00分

古本や中古CD・ゲーム小売業者などでつくる業界団体がこのほど、「中学生以下からの商品買い取りは保護者同伴が条件」という新しい自主規制ルールを発表した。10月から実施するとしている。「不正買い取り」を防ぎ、万引き少年を減らす狙いだ。

公表資料によると、新ルールの中核は、中学生以下から商品を買い取る場合は、保護者同伴でなければいけないとしている点だ。また、高校生を含む18歳未満から買い取る際には、保護者直筆の「買取同意書」を求め、保護者に電話で確認するとしている。そのほか、新品の未開封品や、複数の同一商品は原則として買い取らないことも決めた。

このルールを運営する業界団体「日本メディアコンテンツリユース協議会」には、TSUTAYAやGEO、BOOK OFFなどが参加しており、対象店舗は全国で約2000店にのぼる。大手業者の率先した取り組みに期待が寄せられている。

では、今回問題となっている「不正買い取り」とは、どういうものなのだろうか。また、それを防ぐために、店側にはどのような法的義務が課されているのだろうか。阿野寛之弁護士に聞いた。

●買い取り価格が「1円」でも、本人確認が必要

――今回の「ルール」は業者の自主規制だが、まず「法律」の規制はどうなっている?

「中古品買い取り業者は、『古物営業法』という法律で規制されています。実は、買い取り業者には誰でもなれるわけではありません。中古品を買い取る業者になるためには、公安委員会から『古物商』としての許可を受ける必要があるのです」

――古物営業法には「不正買い取り」を防ぐ仕組みがある?

「はい。まず古物商は、古物(中古品)を買い取る際、売り手の身分確認をしなくてはならないと決まっています。

具体的には、相手の住所、氏名、年齢、職業を確認しなければなりません。また、身元確認をする方法も(身分証の確認など)細かく定められています。

DVDや書籍、ゲームソフト等については、特に万引きに遭いやすく、簡単に中古品として売れるので、買い取り価格に関係なく(極端な話「1円」でも)本人確認義務が課されています。

この本人確認義務を怠ると、許可を取り消されたり、営業停止といった行政処分を受けることがあります」

――子どもからの買い取りには、特別なルールがある?

「はい。各都道府県の『青少年健全育成条例』があります。具体的には、保護者の同意等(東京都では「同行または同意」)がある場合を除き、青少年(18歳未満)から古物商が買い取りをすることは禁止されています。

違反した場合には、古物商側に罰則(おおむね罰金、額は都道府県により異なる)がありますし、営業停止などの行政処分を受ける可能性もあります」

――すでに法律や条令があるのに、さらに「自主規制ルール」が必要な理由は?

「保護者の同意を確認する具体的方法までは、古物営業法や条例では規定されておらず、法律や条例だけでは子どもの不正買い取りを十分に防げないからです。

そのため、『小学生以下は必ず保護者同伴』など、不正買い取りを防ぐための業界の自主規制ルールは以前からありました。しかし、一部で同意確認等がルーズになった結果、万引き商品を大量に買い取ってしまった例が相当数発生したのです。今回、業界団体が自主規制をさらに厳しくしたのは、そういった背景があります。

中古市場で高値が付く商品を大量に万引きするというのは、少年非行でよくあるケースです。万引き少年を減らすためには、業者側に毅然とした対応が望まれているということです」

東京都内のある駅前には、通常の書店と古本屋が軒を並べて店をかまえているが、「右の書店で万引きされた本が、左の古本屋で売られているらしい」という笑えない噂がある。出版不況で苦しむ書店をさらに追い詰めないためにも、万引き対策はしっかり行ってもらいたいものだ。

(弁護士ドットコムニュース)

古本や中古CD・ゲーム小売業者などでつくる業界団体がこのほど、「中学生以下からの商品買い取りは保護者同伴が条件」という新しい自主規制ルールを発表した。10月から実施するとしている。「不正買い取り」を防ぎ、万引き少年を減らす狙いだ。

公表資料によると、新ルールの中核は、中学生以下から商品を買い取る場合は、保護者同伴でなければいけないとしている点だ。また、高校生を含む18歳未満から買い取る際には、保護者直筆の「買取同意書」を求め、保護者に電話で確認するとしている。そのほか、新品の未開封品や、複数の同一商品は原則として買い取らないことも決めた。

このルールを運営する業界団体「日本メディアコンテンツリユース協議会」には、TSUTAYAやGEO、BOOK OFFなどが参加しており、対象店舗は全国で約2000店にのぼる。大手業者の率先した取り組みに期待が寄せられている。

では、今回問題となっている「不正買い取り」とは、どういうものなのだろうか。また、それを防ぐために、店側にはどのような法的義務が課されているのだろうか。阿野寛之弁護士に聞いた。

●買い取り価格が「1円」でも、本人確認が必要

――今回の「ルール」は業者の自主規制だが、まず「法律」の規制はどうなっている?

「中古品買い取り業者は、『古物営業法』という法律で規制されています。実は、買い取り業者には誰でもなれるわけではありません。中古品を買い取る業者になるためには、公安委員会から『古物商』としての許可を受ける必要があるのです」

――古物営業法には「不正買い取り」を防ぐ仕組みがある?

「はい。まず古物商は、古物(中古品)を買い取る際、売り手の身分確認をしなくてはならないと決まっています。

具体的には、相手の住所、氏名、年齢、職業を確認しなければなりません。また、身元確認をする方法も(身分証の確認など)細かく定められています。

DVDや書籍、ゲームソフト等については、特に万引きに遭いやすく、簡単に中古品として売れるので、買い取り価格に関係なく(極端な話「1円」でも)本人確認義務が課されています。

この本人確認義務を怠ると、許可を取り消されたり、営業停止といった行政処分を受けることがあります」

――子どもからの買い取りには、特別なルールがある?

「はい。各都道府県の『青少年健全育成条例』があります。具体的には、保護者の同意等(東京都では「同行または同意」)がある場合を除き、青少年(18歳未満)から古物商が買い取りをすることは禁止されています。

違反した場合には、古物商側に罰則(おおむね罰金、額は都道府県により異なる)がありますし、営業停止などの行政処分を受ける可能性もあります」

――すでに法律や条令があるのに、さらに「自主規制ルール」が必要な理由は?

「保護者の同意を確認する具体的方法までは、古物営業法や条例では規定されておらず、法律や条例だけでは子どもの不正買い取りを十分に防げないからです。

そのため、『小学生以下は必ず保護者同伴』など、不正買い取りを防ぐための業界の自主規制ルールは以前からありました。しかし、一部で同意確認等がルーズになった結果、万引き商品を大量に買い取ってしまった例が相当数発生したのです。今回、業界団体が自主規制をさらに厳しくしたのは、そういった背景があります。

中古市場で高値が付く商品を大量に万引きするというのは、少年非行でよくあるケースです。万引き少年を減らすためには、業者側に毅然とした対応が望まれているということです」

東京都内のある駅前には、通常の書店と古本屋が軒を並べて店をかまえているが、「右の書店で万引きされた本が、左の古本屋で売られているらしい」という笑えない噂がある。出版不況で苦しむ書店をさらに追い詰めないためにも、万引き対策はしっかり行ってもらいたいものだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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