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「流産しろ」川崎希さん、ネット中傷に「発信者情報開示請求」 追い詰められる投稿主
2019年10月10日 17時35分

元AKB48メンバーで、実業家でもあるタレントの川崎希さんが10月8日、公式ブログで、ネット上での嫌がらせに対して、発信者情報開示請求をおこなったことを公表した。

ブログによると、3年くらい前から、レストランなど行った場所ほぼすべてに、無銭飲食や窃盗をしていたなどの連絡を入れられたり、妊娠を発表してから「嘘つくな」「流産しろ」などのメッセージが毎日届いていたという。

さらに、匿名の掲示板で「みんなで自宅に着払いで荷物を送ろう」「海外にいる間は放火するチャンス」などと投稿されたこともあるそうだ。その後、所属事務所に相談して、発信者情報開示請求をすることになったという。

弁護士に依頼してから、5カ月ほどかけて、投稿していた人たちを特定することができたようだ。川崎さんは今後、その人たちに対して、民事・刑事の両面で、法的措置をとっていくことを明らかにしている。

今回、話題になった発信者情報開示請求とは、どのような手続きなのか。今後、どのような展開が考えられるのか。ITの法律問題にくわしい清水陽平弁護士に聞いた。

元AKB48メンバーで、実業家でもあるタレントの川崎希さんが10月8日、公式ブログで、ネット上での嫌がらせに対して、発信者情報開示請求をおこなったことを公表した。

ブログによると、3年くらい前から、レストランなど行った場所ほぼすべてに、無銭飲食や窃盗をしていたなどの連絡を入れられたり、妊娠を発表してから「嘘つくな」「流産しろ」などのメッセージが毎日届いていたという。

さらに、匿名の掲示板で「みんなで自宅に着払いで荷物を送ろう」「海外にいる間は放火するチャンス」などと投稿されたこともあるそうだ。その後、所属事務所に相談して、発信者情報開示請求をすることになったという。

弁護士に依頼してから、5カ月ほどかけて、投稿していた人たちを特定することができたようだ。川崎さんは今後、その人たちに対して、民事・刑事の両面で、法的措置をとっていくことを明らかにしている。

今回、話題になった発信者情報開示請求とは、どのような手続きなのか。今後、どのような展開が考えられるのか。ITの法律問題にくわしい清水陽平弁護士に聞いた。

●2段階の手続きが必要となる

発信者情報開示請求とは、プロバイダ責任制限法によって定められている手続きです。プロバイダなどに対して、発信者(≒投稿者)の情報を開示するよう請求することができるというものです。

一般的な手続きのフローとしては、次のような2段階の請求が必要になります。

(1)書込まれた掲示板に対するIPアドレスなどの開示請求
(2)IPアドレスから判明するプロバイダ(OCN、ドコモなど)に対する契約者の氏名住所などの開示請求

掲示板やSNSなど、サイトに書込みをする際に、基本的には、氏名や住所などの個人情報は入力しないので、サイト運営側も、誰が書いているのかを知ることができません。

そこで、サイトに接続した際のIPアドレスなどの情報を、まず開示してもらうのです。

そして、IPアドレスは、各プロバイダが付与しているものなので、IPアドレスを調べれば、その投稿をした人が、どのプロバイダを使用したのかわかります。

そこで、次に、プロバイダに対して、そのIPアドレスをある時間(=接続した時間)に使用した契約者が誰かという開示請求をすることになります。

●手間と費用、時間がかかることが多い

いずれの手続きも、裁判所が開示を命じないと開示をしてくれないのが、原則的な扱いになっているので、手間と費用、時間がかかることが多いです。

ただし、開示請求がされると、プロバイダは契約者に開示に同意するかどうかの意見照会をおこなうのですが、そこで同意がされれば例外的にすぐに開示をしてくれます。

なお、最終的に開示されるのは、プロバイダ契約者の情報で、かならずしも書き込みをした本人の情報ではないことがある、という点はやや注意が必要です。たとえば、家族が契約する回線から書き込んでいるというケースがあるためです。

●慰謝料は最大「100万円」程度

今回は5カ月程度で特定ができたとのことですが、時間的には比較的早めという印象です。

今後の請求としては、大きく分けて、民事での請求と、刑事処分を求めることの2つが考えられます。

民事とは、簡単にいえば、お金の問題であり、損害賠償請求をするというものです。請求は、裁判を使わない方法と使う方法がありますが、この点は請求者の選択次第です。最終的に認められる賠償額は、その内容や執拗さなどによってもケースバイケースですが、慰謝料としては、最大で100万円程度のことが多いという印象です。

ただし、これに加えて調査にかかった費用の賠償も、かならずしも全額というわけではありませんが、認めてもらえます。

刑事処分については、書き込まれていた内容によっては、名誉毀損罪や脅迫罪などにあたりうるので、刑事告訴や被害届を出すことで、警察が捜査をすすめていく可能性は十分あると思います。こちらは検察官が起訴・不起訴の判断して、場合によって、最終的に有罪判決を受けるという例もあるのではないかと思います。

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