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通夜・告別式なし…火葬だけの「直葬」で寺とトラブル、「離檀料」支払わないとダメ?
2017年09月13日 09時55分

人口減少期に入った日本では、亡くなる人の数が2040年ごろまで増え続けると予想されている。一方で、葬儀に対する関心は昔より低くなっているようだ。

公正取引員会が今年3月にまとめた報告書によると、「一般葬」が減少傾向にあると回答した葬儀業者は68.3%でもっとも多かった。これに対し、「増加傾向にある葬儀」を尋ねたところ、1番多かったのが「家族葬」で51.1%、「直葬」が26.2%で続いた。直葬とは、通夜・告別式を執り行わず、火葬だけを行う形式のことだ。葬儀の簡略化が進んでいるとみられる。

宗教離れやお金の問題など、理由は複数考えられるが、セレモニーの省略がトラブルにつながることも。週刊朝日(9月1週号)では、直葬後、檀家が遺骨を持って寺を訪れると、寺から「葬儀をやり直せ」と怒られた事例を紹介している。檀家がそれなら「出て行く」と言い返したところ、「離檀料を200万円払え」と請求されたそうだ。

もしトラブルになって、檀家を辞めるとなった場合、離檀料は払わないといけないのだろうか。離檀料に法的根拠があるのか、星野宏明弁護士に聞いた。

人口減少期に入った日本では、亡くなる人の数が2040年ごろまで増え続けると予想されている。一方で、葬儀に対する関心は昔より低くなっているようだ。

公正取引員会が今年3月にまとめた報告書によると、「一般葬」が減少傾向にあると回答した葬儀業者は68.3%でもっとも多かった。これに対し、「増加傾向にある葬儀」を尋ねたところ、1番多かったのが「家族葬」で51.1%、「直葬」が26.2%で続いた。直葬とは、通夜・告別式を執り行わず、火葬だけを行う形式のことだ。葬儀の簡略化が進んでいるとみられる。

宗教離れやお金の問題など、理由は複数考えられるが、セレモニーの省略がトラブルにつながることも。週刊朝日(9月1週号)では、直葬後、檀家が遺骨を持って寺を訪れると、寺から「葬儀をやり直せ」と怒られた事例を紹介している。檀家がそれなら「出て行く」と言い返したところ、「離檀料を200万円払え」と請求されたそうだ。

もしトラブルになって、檀家を辞めるとなった場合、離檀料は払わないといけないのだろうか。離檀料に法的根拠があるのか、星野宏明弁護士に聞いた。

●法律上の決まりはないが、慣習上は一定額の支払いが必要な場合も

ーー離檀料ってなに?

法律上の明確な定義はありませんが、一般的には檀家としての地位を解消し、墓地使用契約も解約する際の清算金として檀家側に求められることが多いです。

離檀は、檀家をやめ、墓地区画をお寺に返還するにあたって霊を抜くという信仰上の慣行として行われてきましたが、法的には一種の解約金、墓地の修復費用または損害賠償としてみることも可能です。

ーー一体どういうことが問題になるの?

離檀料やお布施の法的性質についての解釈が確立されていないこと自体が、トラブルの原因ともなっています。

寺院で墓地を購入する場合、あるいはすでに墓地がある場合、明確に契約書がなくても寺院との間で墓地を使用する「永代供養契約」と「檀信徒関係」が成立します。寺院側は、墓地使用をさせ、供養を引き受ける代わりに、檀家側は寺院護持の役割を担うという関係です。

ここでキーワードになるのが「お布施」です。檀家は、お布施によって、お寺の宗教活動を支えます。お布施は、墓地使用・供養の「対価料金」ではなく、あくまで「宗教上の志、寄進、感謝の行動」ですよね。そのため、墓地使用・供養との間で反対給付の関係はないと考えられています。

したがって、一般に、お布施や離檀料は、法律上の強制力がある法的義務とまでは評価できず、離檀料やお布施は、檀家側からの寄進・喜捨行為にすぎません。

ーーということは、離檀料は払わなくても良いの?

離檀料やお布施の法的性質については確たる判例はなく、解釈の分かれるところではあります。一般的には、裁判で強制力をもった形で請求することまではできない一種の自然債務と解釈されています。

もっとも、裁判で強制までできる債務でなくとも、慣習上一定の金額を支払う義務自体は観念でき、その限度で、慣習に基づいた請求権を行使できると考えることも可能です。

特に、名目上は離檀料であっても、実質は墓地返還にあたっての修復費用相当額程度である場合には、裁判でも慣習上の債務として支払義務が肯定されることはありえます。

ーートラブルになったらどうしたら良いのか?

墓を新たな場所へ移す「改葬」や離檀料をめぐるトラブルは、近年特に増えている印象があります。

事実上、離檀料を支払う慣習となっている地域では、払うケースが多いですが、一般的には離檀料が法律上強制力のある債務とまでいうことはできないでしょう。

裁判での解決に馴染まない分野ですので、弁護士にも相談しつつ、寺院側と妥協点を探り、解決を図るしかないのが現状です。

(弁護士ドットコムニュース)

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