11121.jpg
中華料理屋の回鍋肉に小石「歯が欠けた!」 治療費だけでなく慰謝料まで取れる?
2024年01月20日 08時44分

ガリッ。中華料理店で頼んだ回鍋肉(ホイコーロー)に入っていた石を噛んだことから、「歯が欠けた」。そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられた。

当日は、店側に石の混入を伝えて退店したが、翌日になって「歯が欠けてぐらぐら」していたことで、店から謝罪を受けたという。

そのやりとりは録音してあるそうだ。後日、店側から治療費を支払うと連絡を受けたが、相談者は「慰謝料も請求したい」と考えている。慰謝料まで求められるのだろうか。田村ゆかり弁護士に聞いた。

ガリッ。中華料理店で頼んだ回鍋肉(ホイコーロー)に入っていた石を噛んだことから、「歯が欠けた」。そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられた。

当日は、店側に石の混入を伝えて退店したが、翌日になって「歯が欠けてぐらぐら」していたことで、店から謝罪を受けたという。

そのやりとりは録音してあるそうだ。後日、店側から治療費を支払うと連絡を受けたが、相談者は「慰謝料も請求したい」と考えている。慰謝料まで求められるのだろうか。田村ゆかり弁護士に聞いた。

●弁護士の解説【治療費の請求ハードルは低い】

——相談者は治療費の請求が可能でしょうか

故意または過失による違法行為によって、権利を侵害されたとして不法行為責任(民法709条)や、中華料理店と客(相談者)との間には店が料理と場所を提供して客が代金を支払う旨の契約があるので債務不履行責任(民法415条)が考えられます。

また、「製造業者等は、その製造、加工…した製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる」と定める製造物責任法(3条)に基づく損害賠償責任が考えられます。

それぞれの法的要件は重なる部分もありますが、故意や過失がなくても損害賠償責任を問える製造物責任法を検討します。

まず、料理に石が混入していたことは店も認めている事実であるので、「欠陥」があることは明らかです。

次に、「歯が欠けてぐらぐら」したことが石によるものか、歯の治療を要したことと石の混入との間に因果関係があるか、が問題となります。

——歯科クリニックなどに協力を頼むなど、どのような準備をしておくとよいでしょうか

まだ治療を受けていないとすれば、歯科クリニックに混入していた石の写真などを持参し、その料理を食べた日時、いつから症状が出ているのかといった経緯を説明した上で治療を受けましょう。

そして、歯がぐらぐらするようになった原因が、料理に混入していた石のせいなのか、医師の考えを確認しましょう。今後診断書や意見書を作成してもらうかもしれません。

医師の見解でも、歯がぐらぐらするようになった原因が料理に混入していた石のせいであれば、治療費について請求することはそれほど難しくない事案かと思います。

——慰謝料の請求は可能でしょうか

このケースで慰謝料の請求までは難しいと考えます。

たとえば、混入していたのが石ではなくボタン電池で、飲み込んでしまったボタン電池摘出のために入院しての手術が必要というようなケースであれば、入院期間に対応した慰謝料請求が可能と言えます。

ただこの事案でも、支払った料理代金の返還を請求する、通院のために有給休暇を取得したのであれば休業損害の賠償を請求するなどは可能です。

最終的には治療費、料理代金、休業損害等をひっくるめて、店側が解決金や迷惑料として「〇〇円」を支払うといった合意をするという方向での交渉が考えられます。

なお、食品衛生法6条において不潔、異物の混入または添加その他の事由により、人の健康を損なうおそれがある食品は販売してはならないとされています。保健所に連絡をして調査や指導をしてもらうこともできます。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る