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バツ3弁護士、今度は「妊娠と事実婚」…たどり着いた「過剰に求めすぎない」生き方
2016年05月02日 00時00分

日ごろ、多くの離婚や男女トラブルに関する相談を受けている弁護士たちは、男女問題のエキスパートとも言えます。3度の離婚を経験し、公私とも、様々なトラブル男女の機微を目にしてきた原口未緒弁護士は、最近、4度目の結婚をしました。

夏には初めての赤ちゃんが生まれますが、選んだ結婚のかたちは「事実婚」。「これまでの経験をもとに『事実婚』を選んだ」と語る原口弁護士に、事実婚、そして結婚の極意について、お話を聞きました。(取材・文/ライター・吉田彩乃)

ーーご結婚おめでとうございます。単刀直入にお伺いしますが、なぜ今回は事実婚にされたのですか?

3度の結婚がうまくいかなかった理由が、法律婚をしていたことだな、と気づいたことです。「結婚しているんだから」という理由で、相手に勝手に期待をして、過剰に求めすぎてしまう。結果として、相手も苦しめるし、「裏切られた」と、自分も嫌な思いをします。

私の場合、婚姻関係を盾にして相手への要求度合が高まる傾向があるのかもしれない、と。 そこで、今のパートナーとお付き合いを始めた頃から、婚姻届を提出する「結婚」というスタイルにとらわれないでいたいと考えていました。妊娠がわかったときに2人で話し合い、正式に事実婚を決めました。

パートナーは法曹関係者ではありませんが、離婚経験がある人です。離婚の大変さを知っていることもあり、すんなりと「事実婚でいいよ」と、抵抗なく応じてもらえました。

ーー事実婚を選んだことで、困ったことはありましたか?

これまでに「困った!」ということは、ほとんどなかったですね。強いて言えば、住宅探しの時に、大家さんから「籍を入れないのか?」としつこく聞かれたくらいです。 年齢層の高い方には、まだ「法律的な結婚をしていて当たり前」という発想があるのだと思います。

仲介している不動産会社さんが「弁護士さんだし、しっかりとした考えがあるから大丈夫」と説得してくれて、ようやく納得してもらいました。

ーー事実婚でも、お子さんにデメリットはないのでしょうか?

事実婚カップルの間に子どもが生まれた場合、父親は、自動的に「法律上の父親」にはなれません。そこで「法律上の父親」になるためには、「認知」という手続きが必要になりますが、これは役所に「認知届」を提出することで、完了します。

認知をすれば、法律上も父親となりますから、子どもには相続権も発生します。 名字は、パートナーの姓を選びました。私の感覚的なことですが、母親は妊娠中から、自分のお腹で育ち、生まれてくる我が子に対して、「自分の子ども」という気持ちが芽生えていくものです。

でも、父親は「自分の子ども」だと、なかなか体感できないですよね。つながりを実感し、父親だと自覚を持ってもらうためにも、子どもはパートナーの姓を使うことにしました。

ーー4回目の結婚生活だからこそ、結婚生活で気をつけていることはありますか?

嫌な思いを自分の中にためこまないことです。そのために、いいことも悪いことも、思ったことはできるだけ相手に伝えるようにしています。やりたいことも我慢しない。相手にも、思ったことはなんでも言ってもらうようにしています。

過去の結婚生活を振り返ってみると、人に迷惑をかけたり嫌な思いをさせるのが嫌で、自分の不満などをほとんど口に出せませんでした。当たり前のことですが、口に出さなければ、不満がなくなるわけではありません。 結局、我慢の限界に達して「もういい!離婚だ!」と啖呵をきってしまうのが、私の離婚パターンでした。

私のところに相談にくるご夫婦を見ていても、お互いに不満を抱え続けて関係が破綻してしまっているケースがとても多い。円満な夫婦関係を持続させるには、コミュニケーションがとても重要ですよね。

ーー先日、原口先生の初めての著作である『こじらせない離婚』(ダイヤモンド社)が出版されました。「慰謝料は新しい生活をスタートするための支度金と捉える」という発想が新鮮でした。

離婚すると、引越し費用をはじめ、新しい生活を始めるための資金が必要になります。専業主婦の場合は、新しい仕事を見つけ、さらに軌道にのるまでの間の生活費もかかります。これらを支度金だと考えれば、提示する数字に根拠ができて相手も納得しやすいですし、財布を開きやすくなります。

離婚でもっとも大切なのは、精神的な区切りをつけられるかどうか。離婚がドロ沼化する人たちは、これがうまくいっていません。「高額な慰謝料を請求して復讐したい」、あるいは、慰謝料を「私の心の隙間を癒すための金額」と思ってしまうと、キリがなくなります。 相手の執着や未練も消えにくくなる。

「慰謝料は新しい人生を始めるための支度金」と考えれば、自分の心の区切りになるはずです。

(弁護士ドットコムライフ)

日ごろ、多くの離婚や男女トラブルに関する相談を受けている弁護士たちは、男女問題のエキスパートとも言えます。3度の離婚を経験し、公私とも、様々なトラブル男女の機微を目にしてきた原口未緒弁護士は、最近、4度目の結婚をしました。

夏には初めての赤ちゃんが生まれますが、選んだ結婚のかたちは「事実婚」。「これまでの経験をもとに『事実婚』を選んだ」と語る原口弁護士に、事実婚、そして結婚の極意について、お話を聞きました。(取材・文/ライター・吉田彩乃)

ーーご結婚おめでとうございます。単刀直入にお伺いしますが、なぜ今回は事実婚にされたのですか?

3度の結婚がうまくいかなかった理由が、法律婚をしていたことだな、と気づいたことです。「結婚しているんだから」という理由で、相手に勝手に期待をして、過剰に求めすぎてしまう。結果として、相手も苦しめるし、「裏切られた」と、自分も嫌な思いをします。

私の場合、婚姻関係を盾にして相手への要求度合が高まる傾向があるのかもしれない、と。 そこで、今のパートナーとお付き合いを始めた頃から、婚姻届を提出する「結婚」というスタイルにとらわれないでいたいと考えていました。妊娠がわかったときに2人で話し合い、正式に事実婚を決めました。

パートナーは法曹関係者ではありませんが、離婚経験がある人です。離婚の大変さを知っていることもあり、すんなりと「事実婚でいいよ」と、抵抗なく応じてもらえました。

ーー事実婚を選んだことで、困ったことはありましたか?

これまでに「困った!」ということは、ほとんどなかったですね。強いて言えば、住宅探しの時に、大家さんから「籍を入れないのか?」としつこく聞かれたくらいです。 年齢層の高い方には、まだ「法律的な結婚をしていて当たり前」という発想があるのだと思います。

仲介している不動産会社さんが「弁護士さんだし、しっかりとした考えがあるから大丈夫」と説得してくれて、ようやく納得してもらいました。

ーー事実婚でも、お子さんにデメリットはないのでしょうか?

事実婚カップルの間に子どもが生まれた場合、父親は、自動的に「法律上の父親」にはなれません。そこで「法律上の父親」になるためには、「認知」という手続きが必要になりますが、これは役所に「認知届」を提出することで、完了します。

認知をすれば、法律上も父親となりますから、子どもには相続権も発生します。 名字は、パートナーの姓を選びました。私の感覚的なことですが、母親は妊娠中から、自分のお腹で育ち、生まれてくる我が子に対して、「自分の子ども」という気持ちが芽生えていくものです。

でも、父親は「自分の子ども」だと、なかなか体感できないですよね。つながりを実感し、父親だと自覚を持ってもらうためにも、子どもはパートナーの姓を使うことにしました。

ーー4回目の結婚生活だからこそ、結婚生活で気をつけていることはありますか?

嫌な思いを自分の中にためこまないことです。そのために、いいことも悪いことも、思ったことはできるだけ相手に伝えるようにしています。やりたいことも我慢しない。相手にも、思ったことはなんでも言ってもらうようにしています。

過去の結婚生活を振り返ってみると、人に迷惑をかけたり嫌な思いをさせるのが嫌で、自分の不満などをほとんど口に出せませんでした。当たり前のことですが、口に出さなければ、不満がなくなるわけではありません。 結局、我慢の限界に達して「もういい!離婚だ!」と啖呵をきってしまうのが、私の離婚パターンでした。

私のところに相談にくるご夫婦を見ていても、お互いに不満を抱え続けて関係が破綻してしまっているケースがとても多い。円満な夫婦関係を持続させるには、コミュニケーションがとても重要ですよね。

ーー先日、原口先生の初めての著作である『こじらせない離婚』(ダイヤモンド社)が出版されました。「慰謝料は新しい生活をスタートするための支度金と捉える」という発想が新鮮でした。

離婚すると、引越し費用をはじめ、新しい生活を始めるための資金が必要になります。専業主婦の場合は、新しい仕事を見つけ、さらに軌道にのるまでの間の生活費もかかります。これらを支度金だと考えれば、提示する数字に根拠ができて相手も納得しやすいですし、財布を開きやすくなります。

離婚でもっとも大切なのは、精神的な区切りをつけられるかどうか。離婚がドロ沼化する人たちは、これがうまくいっていません。「高額な慰謝料を請求して復讐したい」、あるいは、慰謝料を「私の心の隙間を癒すための金額」と思ってしまうと、キリがなくなります。 相手の執着や未練も消えにくくなる。

「慰謝料は新しい人生を始めるための支度金」と考えれば、自分の心の区切りになるはずです。

(弁護士ドットコムライフ)

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