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楽天・優勝セールの「不当表示」 大幅割引にダマされた人は「購入」を取り消せるか?
2013年11月20日 15時55分

毎年、プロ野球の日本シリーズ後に行われる「優勝セール」。今年は東北楽天ゴールデンイーグルスが優勝したため、地元のデパートのほか、ネット通販サイト「楽天市場」でも優勝セールが実施された。星野仙一監督の背番号にちなんで「最大77%割引」という大幅な値下げが行われ、安く品物が買えると喜んだ人も多いことだろう。

しかし、一部の販売業者が通常価格を大幅に引き上げてお得に見せかけたことが発覚し、問題となっている。ある業者はシュークリーム10個1万2000円を通常価格とし、2600円で販売していた。楽天はこの業者の販売ページを閉鎖したが、ほかにも通常価格を引き上げて「大幅割引」に見せかけた店舗があるという。

値下げされているように見せかけた表示を見て、思わず商品を買ってしまった人もいるだろう。その人たちが「詐欺」だと主張して、購入を取り消すことは可能なのだろうか。関東弁護士連合会・消費者問題対策委員会の副委員長をつとめる福村武雄弁護士に聞いた。

毎年、プロ野球の日本シリーズ後に行われる「優勝セール」。今年は東北楽天ゴールデンイーグルスが優勝したため、地元のデパートのほか、ネット通販サイト「楽天市場」でも優勝セールが実施された。星野仙一監督の背番号にちなんで「最大77%割引」という大幅な値下げが行われ、安く品物が買えると喜んだ人も多いことだろう。

しかし、一部の販売業者が通常価格を大幅に引き上げてお得に見せかけたことが発覚し、問題となっている。ある業者はシュークリーム10個1万2000円を通常価格とし、2600円で販売していた。楽天はこの業者の販売ページを閉鎖したが、ほかにも通常価格を引き上げて「大幅割引」に見せかけた店舗があるという。

値下げされているように見せかけた表示を見て、思わず商品を買ってしまった人もいるだろう。その人たちが「詐欺」だと主張して、購入を取り消すことは可能なのだろうか。関東弁護士連合会・消費者問題対策委員会の副委員長をつとめる福村武雄弁護士に聞いた。

●架空の二重価格表示は「有利誤認表示」になる

「通常価格とセール価格を併記する『二重価格表示』自体は、違法ではありません。しかし、本件のシュークリームのように、架空の高額な通常価格を表記し、セール価格を安くみせかけることは、『有利誤認表示』として、景品表示法で禁止されています」

この「有利誤認表示」の典型例として、実際には他と比べて特に安いわけでもないのに、価格が安いかのように偽った宣伝をするケースがあげられるという。もし、こうした宣伝に「引っかかって」商品を買ってしまった場合、消費者は何かを要求できるのだろうか。

「景品表示法違反の宣伝があっても、ただちに消費者と事業者との契約が取り消されるわけではありません。2600円でシュークリームを売るという直接の契約内容に事実と異なることはありませんので、民法上の『詐欺』ということも難しいと思います」

どうやら、景品表示法の有利誤認表示がストレートに「契約取り消し」に結びつくわけではなさそうだ。契約を取り消してもらうためには、どうすればいいのだろうか。

●消費者契約法の『不実告知』になる可能性も?

「事業者と消費者との契約には、消費者契約法が適用されます。

裁判例では、一般的な小売価格が41万4000円の指輪が29万円で買えると勧誘されて、購入させられた事案で、消費者契約法の『重要事実に関する不実告知』による勧誘だとして、契約の取消が認められた例があります」

この指輪、実際には12万円程度の価値の品だったようだ。福村弁護士は続けてこう述べる。

「したがって、不当な二重価格表示による商品の販売については、消費者契約法による取消しができる可能性はあるといえるでしょう。

ただしネット上の表示が『勧誘』といえるのか、一般的価値が重視される宝飾品と食料品を同様に考えられるのか、という問題は残ります」

たしかに宝石やアクセサリーと違い、10個1万2000円のシュークリームと聞けば、一般感覚でも「高いな」とわかる。そのあたりは微妙な問題かもしれない。

ネット取引が普及してきたいま、これからの消費者保護はどうなってゆくのだろうか。福村弁護士は次のように指摘し、法改正への期待をにじませていた。

「消費者契約法に関しては、現在日弁連からも改正試案が発表されています。適切な改正がなされれば、本件のように『不適切な二重価格表示』に基づく契約について、より直接的に契約の取り消しが可能になるだろうと思われます」

(弁護士ドットコムニュース)

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