ご当地グルメ「なみえ焼そば」を提供する飲食店からロイヤリティを徴収し始めたところ、一部から反発が出ていた問題で、浪江町商工会(福島県浪江町)は、公式サイトでリリースを掲載した。支払いに応じずメニュー名称を変更したと報じられた飲食店との間で「問題解決」したと説明している。(弁護士ドットコムニュース編集部・塚田賢慎)
●資金難と「公的な団体」としての苦悩もにじませ
「なみえ焼そば」の商標を保有する浪江町商工会は今春から、飲食店などの事業者に対し、登録料3000円のほか、売上の2.5%をロイヤリティとして徴収する方針を通知した。これに対して、一部の店舗が反発し、名称を変更して販売する動きも報じられた。こうした状況で、SNS上では、同商工会に対する批判も上がっていた。
11月11日までに出されたリリースによると、同商工会は青年部を中心に2008年11月から「なみえ焼そば」による町おこしを展開。「福島第一原子力発電所の事故により全町民が強制避難を余儀なくされる中でも活動を続け」てきたとしている。
焼そば提供店のマップ作成や、イベント参加などの費用は主に青年部が負担してきたが、資金面での「苦戦」が続いていたという。
「浪江町商工会はあくまで浪江町全体のために活動する公的な団体であって、青年部の部費を『なみえ焼そば』のみに使用すると、『なみえ焼そば』を扱っていない他の事業者との間で不公平が生じ得ることもあり、『なみえ焼そば』普及に向けた活動を継続したい反面、資金面では苦戦を強いられておりました」(リリースより)
こうした経緯から、町おこし活動の継続に向けて「普及活動によって直接的なメリットを受けると思われる事業者」に協力を求めたという。
協賛金ではなく、ロイヤリティという形式にしたのは、「かつては『なみえ焼そば』のロイヤリティーをお支払いいただいていた時期もあった」ことも理由にあげている。
●ロイヤリティの支払いに多くの事業者が「賛同」と説明
同商工会によると、ロイヤリティ徴収の趣旨には多くの事業者が賛同しており、報道にあった飲食店との間でも「問題解決」したという。
「今回報道のあった飲食店様とは、『なみえ焼そば』の名称使用について、当会との間で問題解決しております」(リリースより)
なお、弁護士ドットコムニュースが取材した知的財産権にくわしい弁護士は、なみえ焼そばの商標権が「飲食店での提供行為」まで及ぶかについて「及ばない可能性もある」と指摘していた。