夫の不倫相手に請求した慰謝料は、夫をはるかに上回る金額だった——。
SNSで経緯を発信し続ける40代の「ぶっつぶ」(仮名)さんは、証拠集めから交渉、請求まですべて自力でやり遂げた。その慰謝料の総額や請求の仕方は、離婚問題の専門家も「初めて聞いた」と驚くほどだ。
背景には「ごめんなさいでは終わらせない」という強い決意があった。
●夫に請求した驚きの慰謝料額
ぶっつぶさんは夫と不倫相手の女性、双方に慰謝料を請求した。
弁護士に相談はしたが依頼はせず、書類作成は行政書士に依頼。「反省の色がなさそうだったので、お金という形で示したかった」と振り返る。
離婚問題にくわしい原口未緒弁護士は「一般的に不倫相手にだけ請求することが多い」としながらも、「いい判断だと思う」と評価する。
「夫が不倫した場合、痛い思いをしないとわからないことが多い。謝罪だけで許してくれたのかなと思えば、『またやっても許される』ともう一度不倫してしまう可能性もある」
夫に請求した慰謝料は1500万円。夫の仕事がうまくいかない時期もあったため、支払いは継続中で「婚姻関係を続けると決めたので、大目に見て猶予を与えている感じ」と話す。
受け取った慰謝料は「汚いお金という気持ちがある。すべて資産運用に回して『浄化』している」という。
●慰謝料請求後も密会に・・・
不倫相手には慰謝料に加えて謝罪も求めた。ただし対面ではなく、電話だったという。「会うと私がどうなってしまうかわからず、心配だった」(ぶっつぶさん)
相手は素直に謝罪に応じたが、原口弁護士によると、拒否する例もあり、「その場合は本気で恋愛感情を抱き、妻から奪おうと意地になっていることが多い」という。
ぶっつぶさんは「彼女が仕事をしないと夫の利益も上がらない」と考え、仕事での接触は許容した。しかし、禁じていたプライベート用の携帯で連絡を取り、仕事以外で会っていたことが判明。慰謝料の支払いがまだ終わっていなかったため、追加請求に踏み切った。
●夫をしのぐ「不倫相手」への慰謝料額
さらに驚かされるのは、不倫相手への請求額だ。詳細は守秘義務のために明かされなかったが、夫の1500万円を大きく上回るという。
原口弁護士は「21年間の弁護士人生で初めて聞いた」と驚き、「裁判例から見ても高額すぎる。弁護士に依頼していたら請求は通らないだろう」と指摘する。
高額のため、「相談は一度だけ応じる」と書面で合意し、支払い条件は相手が決めて、10カ月で完済した。
ぶっつぶさんは「相手はインフルエンサーで経済力もあった。既婚者でもあったので表に出たくなかったのでは」と分析する。
●真似してほしい「意志の強さ」
慰謝料請求の一部始終をSNSで発信したぶっつぶさんには、同じ境遇の女性たちから相談や愚痴が寄せられるという。
「腹をくくって、自分と子どもがどうしたいかを考えれば道は見える。何かあれば相談に乗ります」と語りかける。
証拠集めから請求まで、すべて自力でやり遂げた姿勢に、原口弁護士は「真似できるものではない」としつつ、「泣き叫ぶだけでは権利は守れない。やるべきことはやってほしい」と呼びかけた。