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ゴーン氏の「裁判資料押収」に批判の声 「秘密交通権の侵害」の可能性
2019年04月05日 14時26分

日産自動車・前会長のカルロス・ゴーン被告人の4回目の逮捕を受けて、弘中惇一郎弁護士が開いた4月4日の会見では、東京地検特捜部が、ゴーン被告人がもっていた裁判資料や携帯を押収したことが明らかになった。また、「たまたま居合わせた」(弘中弁護士)というゴーン被告人の妻の携帯電話やパスポートも押収したという。

弘中弁護士の説明によると、特捜部は捜索差押令状を持参した上で、「狭い制限住居にもっていた裁判のための資料」などを押収したという。具体的には携帯電話、書類、ノート、日記など。この点について、弘中弁護士は会見で「明らかな防御権侵害、弁護権侵害」と憤った。

さらに、一緒にいた妻のパスポートや携帯電話も押収しており、プライベートなやりとりや、妻の弁護士とのやりとりの記録なども含まれていたという。弘中弁護士は、「法律の定めたところに反するものだと思うし、文明国としてあってはならない暴挙」と指摘した。

今回の差押えに問題はなかったのか。神尾尊礼弁護士に聞いた。

日産自動車・前会長のカルロス・ゴーン被告人の4回目の逮捕を受けて、弘中惇一郎弁護士が開いた4月4日の会見では、東京地検特捜部が、ゴーン被告人がもっていた裁判資料や携帯を押収したことが明らかになった。また、「たまたま居合わせた」(弘中弁護士)というゴーン被告人の妻の携帯電話やパスポートも押収したという。

弘中弁護士の説明によると、特捜部は捜索差押令状を持参した上で、「狭い制限住居にもっていた裁判のための資料」などを押収したという。具体的には携帯電話、書類、ノート、日記など。この点について、弘中弁護士は会見で「明らかな防御権侵害、弁護権侵害」と憤った。

さらに、一緒にいた妻のパスポートや携帯電話も押収しており、プライベートなやりとりや、妻の弁護士とのやりとりの記録なども含まれていたという。弘中弁護士は、「法律の定めたところに反するものだと思うし、文明国としてあってはならない暴挙」と指摘した。

今回の差押えに問題はなかったのか。神尾尊礼弁護士に聞いた。

●「秘密交通権の侵害」の可能性

押収はどのような根拠で、行われたのでしょうか。

「そもそも押収には2種類あります。裁判官が認めた捜索差押令状に基づくものと、逮捕に伴う捜索差押えです。

今回の押収が、どちらに基づくものがわからないのですが、逮捕に伴う差押えの場合、(裁判官が認めなくても)捜査官が『事件に関係している』と判断すれば可能です」

押収物に裁判資料が含まれていたことに、弁護士の間からは驚きの声があがっていました。

「(書類やノートなどの)中身に、起訴済みの事件について、公判で主張予定の内容や弁護人とのやりとりについて記載されているものが含まれていれば、(誰にも知られずに弁護人とのやりとりができる)秘密交通権の侵害と考えられます。

また(公判で主張しない、事実が明らかになるような資料があれば)実質的に黙秘権の侵害にもなります。弁護側の手の内を明かした状態で戦うことになり、フェアとは言えません」

●「違法収集証拠」として証拠能力を否定

妻のパスポートや携帯電話の差押えに問題はありませんか。

「見解が分かれると思いますが、(被疑者でなく)第三者の物については、押収すべき物の中に(逮捕事実となった)事件と関係するものが入っていると認められる場合、差押えの対象になることがあります。ただその後、事件との関連性の有無で争いになることはありえます」

弁護人は今後、どのように動くことになるのでしょうか。

「拘置所内で弁護人宛ての手紙に対して、令状による差押えを実施して、国家賠償請求が認められたケースがありますので、国賠の可能性はあります。

刑事裁判の中では、違法収集証拠として(今回押収した資料の)証拠能力を否定する主張も考えられます。ただ、主張が認められるかは、現時点ではなんとも言えないと思います」

●「逮捕状を裁判所が却下することは非常にまれ」

逮捕自体を疑問視する声もありますが、どう考えますか。

「逮捕は、証拠隠滅か逃亡の可能性がある場合に認められます。事件単位である以上、別件の事情を全て加味されるわけではありませんが、防犯カメラがついた制限住居や、10億円の保釈金の没収可能性を考えると、具体的に証拠隠滅や逃亡の可能性があったのかは疑問です。

ただ弁護人は、逮捕状を見ることすらできず、逮捕段階で争うことが実質的にできないこともあり、勾留するかを決める(逮捕から)48時間後までが勝負になるでしょう」

裁判所は逮捕を認めやすいと言われますが、どのような背景がありますか。

「逮捕状は、捜査機関の捜査が煮詰まっておらず、嫌疑のレベルが低い状態でも発付できると解釈されます。そのため認められやすいと考えます。

ただ実務上、逮捕状を裁判所が却下することは非常にまれです。裁判所のチェックが機能していないのではないかという問題意識があります」

(弁護士ドットコムニュース)

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