11386.jpg
学校いじめ「犯罪化」は抑止力になる?  岐阜中3自殺で「同級生3人」書類送検へ
2019年12月29日 08時54分

岐阜市の市立中学校3年の男子生徒が自殺したとみられる問題で、同級生の男子生徒3人を強要などの疑いで、書類送検する方針を固めたと岐阜新聞(12月20日岐阜新聞Web)が報じた。

岐阜新聞によれば、3人は男子生徒が自殺する前日、学校内のトイレで無理やり土下座させるなどしたという。さらに3人のうちの1人は、亡くなった男子生徒に対する暴行や恐喝の疑いも持たれている。

言葉にならないほどの痛ましいいじめだが、学校問題に取り組んできた弁護士は、刑事事件化することをどう評価するだろうか。またいじめ被害にあった場合、親はどのように対応すればよいのか。高島惇弁護士に聞いた。

岐阜市の市立中学校3年の男子生徒が自殺したとみられる問題で、同級生の男子生徒3人を強要などの疑いで、書類送検する方針を固めたと岐阜新聞(12月20日岐阜新聞Web)が報じた。

岐阜新聞によれば、3人は男子生徒が自殺する前日、学校内のトイレで無理やり土下座させるなどしたという。さらに3人のうちの1人は、亡くなった男子生徒に対する暴行や恐喝の疑いも持たれている。

言葉にならないほどの痛ましいいじめだが、学校問題に取り組んできた弁護士は、刑事事件化することをどう評価するだろうか。またいじめ被害にあった場合、親はどのように対応すればよいのか。高島惇弁護士に聞いた。

●「今後、刑事事件化するケースは増えてくる」

「刑事事件化することについては、今の世論を考慮すると妥当な結論だと思いますし、今後より刑事事件化するケースは増えてくると思います。

今の教育現場においては、いじめ防止対策推進法の施行もあっていじめの認知件数が激増しており、いじめ防止に向けた取り組みも積極的になされています」

認知件数が激増している中で、学校側の対応は十分になされているのか。

「教師として行える活動に限度があるのが実情です。昔のようないわゆる鉄拳制裁は、文部科学省や各教育委員会から厳しく処分されることもあって、非行に走る生徒を完全に抑えるのは現実的には難しいです。

このような状況下において、被害を受けている児童生徒が自殺するような深刻ないじめ案件においては、もはや学校内部で処理することは到底不可能です。第三者委員会や弁護士、捜査機関といった外部の介入が必要不可欠です」

深刻な事案においては、刑事事件化することも適切な対応といえるのか。

「刑事事件を通じて加害者生徒の更生を図ることも可能である以上、積極的に学校外部へ公表して解決を模索しようとする姿勢が、今の社会には受け入れられるのだと考えています」

●いじめ被害にあったら? LINEも有効

被害者側はいじめを受けたら、どのような対応が望ましいのか。

「いじめを受けた度に証拠確保するのが極めて重要となります。例えば、暴行を受けた場合には、外傷を写真撮影したり医師の診断を受けるべきです。暴言などの被害についても、毎日、日記に取ることで一定の信用力が生じることになります。

特に、LINEで記録する形で送信すれば、事後的な改ざんを疑われる可能性もなくなり、より有効であると考えています。また、捜査機関へ早期に相談することで、警察から学校や加害者児童に対し働きかけてくれるケースもあります。

その上で、より重要なのは刑事事件化を目指すことではなく、自殺などの取り返しがつかない被害が生じる前に、いじめの改善措置を講じることです」

具体的には、どのように動けばよいのか。

「いじめの行為態様が深刻化する前に担任や保護者へ相談すべきですし、仮に対応してもらえない場合は、弁護士会などで行っている電話相談に相談されることをお勧めします。

いじめは、決してなくなることはありませんし、刑事事件化することで加害児童の人生設計も大きく変わってしまいます。

だからこそ、安易ないじめを行わないよう教育の場で定期的に伝えていくべきです。また刑事事件化したニュースが報道されることで、他のケースにおいて一定の抑止力が機能することを期待しています」

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る