11425.jpg
岡口裁判官が会見「ありえないことが起きている」「戒告なら法治国家とは言えない」
2018年09月11日 17時26分

ツイッターの投稿内容が問題視され、裁判官の免官・懲戒に関する「分限裁判」にかけられた東京高裁民事部の岡口基一裁判官(52)が9月11日、最高裁で開かれた審問のあと、司法記者クラブで会見を開いた。

岡口裁判官は「適正手続きが踏まれておらず、ありえないことが起きている」「却下なら分かるが、私からしたら防御しようがない漠然とした申立書と薄弱な証拠で(申し立てが認められ)戒告されるようなことがあれば、法治国家と言えない」などと述べた。

仮に懲戒処分となっても、「私は(裁判官を)やめる理由がない」とも答えた。審理終結日は9月28日。

ツイッターの投稿内容が問題視され、裁判官の免官・懲戒に関する「分限裁判」にかけられた東京高裁民事部の岡口基一裁判官(52)が9月11日、最高裁で開かれた審問のあと、司法記者クラブで会見を開いた。

岡口裁判官は「適正手続きが踏まれておらず、ありえないことが起きている」「却下なら分かるが、私からしたら防御しようがない漠然とした申立書と薄弱な証拠で(申し立てが認められ)戒告されるようなことがあれば、法治国家と言えない」などと述べた。

仮に懲戒処分となっても、「私は(裁判官を)やめる理由がない」とも答えた。審理終結日は9月28日。

●「今回の表現ごときで処分されたら、他の表現もできなくなる」

問題になっているのは、放置された犬を保護した人物が3カ月後、飼い主から返還を求められた訴訟の控訴審で、東京高裁が返還を認めたというニュースを紹介したツイート。

岡口裁判官は、記事のURLとともに、「え?あなた?この犬を捨てたんでしょ? 3か月も放置しておきながら…」「裁判の結果は…」などと記載して投稿。これについて、当事者の感情を害したとして、東京高裁の林道晴長官が7月に懲戒を申し立てていた。

争点は、投稿が「品位を辱める行状」に当たるか。代理人の小倉秀夫弁護士は「政治的発言でなくても、岡口裁判官に対する市民の信頼、裁判制度に対する信頼を害するかが問題になる」と説明した。

岡口裁判官は「私のツイッターはロースクール生も見ている。論点が面白いと思って投稿した」という。

当事者が傷ついたことが理由とされているが、岡口裁判官は、申立書にはどのような理由で傷ついたか書いていないとして、「認否や反論ができない。防御の利益が守られない」「ある人が傷ついたからダメと後から言われたら表現行為はできなくなる。傷ついたの理由がないなら、申し立て理由になっていない」などと反論した。

表現の自由との関係では、「線引きしないと怖くて表現できなくなる。たとえば、自分が担当した事件はつぶやいたらダメだと思う。ルールを作らないといけない。しかし、今回の申立書だと、分からない。今回の表現ごときで処分されたら、他の表現もできなくなる」と話した。

大賀浩一弁護士は「傷つけられたことは否定しないが、保護されるほど重大な権利侵害なのか。こんなのがまかり通ったら、一般企業でもツイッターやめろと裁判に持ち込まれる。一般社会にも影響を及ぼす」と主張した。

岡口裁判官は2016年6月にも、東京高裁から厳重注意を受けている。当時、東京高裁長官だった最高裁の戸倉三郎裁判官は、今回の分限裁判から外れているという。このほか、2018年3月にも女子高生殺人事件についてのツイートで遺族感情を傷つけたとして、厳重注意処分を受けている。

今後の発信について、フェイスブックは継続しているといい、分限裁判の情報を公開しているブログは裁判が終わるまでは続けるという。ツイッターのアカウントは凍結されているが、「ツイッター社の不公平な判断の象徴」になるとして、別アカウントは作らないとしている。

【ノーカット動画】岡口基一裁判官、司法記者クラブ会見

https://www.youtube.com/watch?v=aY-M2aisKl4

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る