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企業は社員の入れ墨の有無を調査できるか
2012年04月11日 00時00分

大阪市の橋下徹市長が、一部の市職員に入れ墨をしている者がいるとして徹底調査に乗り出す構えを見せている。これと同じように、民間企業においても企業側が社員の入れ墨の有無を調査することは可能なのだろうか。また入れ墨をしている社員はそれが発覚した場合、何かしらの懲戒処分を受けることになるのだろうか。

企業の人事労務関係に詳しい木村光伸弁護士によると、

「例えば、社員の胸や腰など、服を脱がしたり、めくったりしないと見えない部位について、企業が、社員の入れ墨の有無を調査することは、通常の業種や職種では、業務に直接関係ない事項についての調査として、社員の明確な同意がない限り、原則として許されないと考えられます。これに対し、例えば、社員の顔や手など、服を脱がしたり、めくったりしなくても見える部位について、社員が入れ墨をしている場合には、接客業などの一定の業種や職種によっては、業務の遂行に支障があるとして、懲戒処分の対象となる場合もあり得ます。」

「ただ、社員の入れ墨が懲戒処分の対象となる場合でも、具体的に懲戒処分を行うためには、入れ墨の規制について、就業規則に懲戒事由や手段の定めがあること、客観的に合理的な理由があること、懲戒処分の内容が相当であること、手続き的要件を履践していることなど、一定の条件が必要です。」

とのことで、企業側が社員の入れ墨の有無を調査するには相応の理由や条件が必要になるようだ。

例えば接客を伴わないデスクワークに従事する社員の場合、肌の露出しない部位に入れ墨をしていたとしても、それを口外したり他人に意図的に見せるようなことをしない限り、入れ墨をしていることを気付かれることはないだろう。服を脱いだり、めくったりしない限り、当該社員に入れ墨があることが分からない場合は、入れ墨をしていることで会社や同僚に迷惑を掛けていることにはならないので、会社が入れ墨の有無を確認するのは行き過ぎた企業行動といえる。

もっとも、入れ墨をしたいと考えている社員も、自らが勤める企業において懲戒処分の対象とならないように気をつけたいところだろう。仕事内容や就業規則によっては、入れ墨を入れていることが会社に知られた場合に懲戒処分などの対象になりかねない。そこで、そのような事態を未然に防ぐためには、就業規則を確認したり、人事労務の担当者に前もって相談したりしておくのも良いだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

大阪市の橋下徹市長が、一部の市職員に入れ墨をしている者がいるとして徹底調査に乗り出す構えを見せている。これと同じように、民間企業においても企業側が社員の入れ墨の有無を調査することは可能なのだろうか。また入れ墨をしている社員はそれが発覚した場合、何かしらの懲戒処分を受けることになるのだろうか。

企業の人事労務関係に詳しい木村光伸弁護士によると、

「例えば、社員の胸や腰など、服を脱がしたり、めくったりしないと見えない部位について、企業が、社員の入れ墨の有無を調査することは、通常の業種や職種では、業務に直接関係ない事項についての調査として、社員の明確な同意がない限り、原則として許されないと考えられます。これに対し、例えば、社員の顔や手など、服を脱がしたり、めくったりしなくても見える部位について、社員が入れ墨をしている場合には、接客業などの一定の業種や職種によっては、業務の遂行に支障があるとして、懲戒処分の対象となる場合もあり得ます。」

「ただ、社員の入れ墨が懲戒処分の対象となる場合でも、具体的に懲戒処分を行うためには、入れ墨の規制について、就業規則に懲戒事由や手段の定めがあること、客観的に合理的な理由があること、懲戒処分の内容が相当であること、手続き的要件を履践していることなど、一定の条件が必要です。」

とのことで、企業側が社員の入れ墨の有無を調査するには相応の理由や条件が必要になるようだ。

例えば接客を伴わないデスクワークに従事する社員の場合、肌の露出しない部位に入れ墨をしていたとしても、それを口外したり他人に意図的に見せるようなことをしない限り、入れ墨をしていることを気付かれることはないだろう。服を脱いだり、めくったりしない限り、当該社員に入れ墨があることが分からない場合は、入れ墨をしていることで会社や同僚に迷惑を掛けていることにはならないので、会社が入れ墨の有無を確認するのは行き過ぎた企業行動といえる。

もっとも、入れ墨をしたいと考えている社員も、自らが勤める企業において懲戒処分の対象とならないように気をつけたいところだろう。仕事内容や就業規則によっては、入れ墨を入れていることが会社に知られた場合に懲戒処分などの対象になりかねない。そこで、そのような事態を未然に防ぐためには、就業規則を確認したり、人事労務の担当者に前もって相談したりしておくのも良いだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

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