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電通、ドンキ、佐川、仁和寺・・・「ブラック企業大賞」ノミネート10社発表
2016年12月01日 14時00分

弁護士やジャーナリストなどでつくる「ブラック企業大賞」実行委員会は12月1日、電通などノミネート企業10社を発表した。ノミネートされたのは、エイジス、電通、ドン・キホーテ、プリントパック、関西電力、佐川急便、サトレストランシステムズ、宗教法人 仁和寺、ディスグランデ介護(茶話本舗FC企業)、日本郵便。

弁護士やジャーナリストなどでつくる「ブラック企業大賞」実行委員会は12月1日、電通などノミネート企業10社を発表した。ノミネートされたのは、エイジス、電通、ドン・キホーテ、プリントパック、関西電力、佐川急便、サトレストランシステムズ、宗教法人 仁和寺、ディスグランデ介護(茶話本舗FC企業)、日本郵便。

●「ジャニーズ事務所をノミネートして」の声も

ノミネート企業の選考に際しては、約30社から長時間労働やパワハラの有無などの基準に沿って絞ったという。厚労省記者クラブで開かれた発表会見で、内田聖子委員(NPO法人アジア太平洋資料センター事務局長)は、マネージャーと会社のトラブルをきっかけに、SMAPが解散することになったことから、「ジャニーズ事務所をノミネートしてほしい」という要望が100件以上来ていたと明かした。ただし、選考基準から外れるため、ノミネートはしなかったという。

企業のノミネート理由の多くは、長時間労働やパワハラだった。竹信三恵子委員(和光大学教授)は、「日本の会社のよくある労務管理の仕方がつもりつもった結果という事例が多かった。当たり前だと思っていた積年の体質が問題点としてきっちり表面化して来た」とまとめた。

一方、委員の佐々木亮弁護士は、近年は労働問題の傾向が変わっているとも指摘。「昔は追い出し部屋など、辞めさせる問題が多かった。近年は、人手不足から求人情報と労働条件が違うケースや、辞められない相談が多い」と語り、ノミネートされた企業以外にも問題があるとの認識を示した。

佐々木弁護士は、「情報が非常に早く、(ニュースが)埋もれてしまう、年間通じてノミネートすることに意味がある」とアワードの意義を説明した。

大賞など、各賞については、12月23日に東京都内で開催する授賞式で発表する。事前にウェブサイトでの投票を行い、イベントで行う投票とあわせて、ウェブ投票賞を決める。大賞など、ウェブ投票賞以外の賞は、同実行委員会の審査で決める。ノミネート企業は、授賞式に招待するという。

●実行委が挙げたノミネート理由(要約)

▼エイジス

JASDAQ上場の棚卸し代行業者。違法な長時間労働を行なっていたとして、千葉労働局から是正勧告を受けて、社名を公表された。厚労省が行政指導段階で、違法な長時間労働を行なっている社名を公表するようになってから、全国初のケース。

▼電通

2015年に入社1年目の高橋まつりさんが過労自殺。25年前には入社2年目の男性社員が過労自殺。3年前にも30歳の男性社員が過労で病死。十分な改善策を実施せず、厚労省の抜き打ち強制捜査を受けた。

▼ドン・キホーテ

最長3カ月で415時間の時間外労働など、36協定に違反する長時間労働をさせた。書類送検され、50万円の罰金。

▼プリントパック

印刷サービスの企業。2013年に労働組合が結成された後、組合員に対する配転命令やボーナスを支給しないなどの扱いをしたとして、2016年7月に京都府労働委員会から不当労働行為と認められた。

▼関西電力

高浜原発1、2号機の運転延長申請を担当していた管理職の男性が2016年に自殺した。1ヶ月の残業が200時間を超える月もあった。過労自殺として労災認定された。

▼佐川急便

経理などを担当していた男性社員が2011年、うつ病で自殺した。直属の上司から、エアガンでうたれたり、つばを吐きかけられたりするなどの嫌がらせを受けていた。上司は退職したいと訴える男性に「そんなの関係ない」と残務処理を指示していた。2016年、仙台地裁は労災を認定した。

▼サトレストランシステムズ

「和食さと」「すし半」「さん天」などの飲食店を展開。2015年12月、長時間労働、残業代の未払いで、かとく(過重労働撲滅特別対策班)による強制捜査が入った(その後、約650人の従業員が総額4億円あまりの未払い賃金を支払う)。また、16年9月には、労働基準法違反で同社や部長らが書類送検された。

▼宗教法人 仁和寺

元料理長の男性が、時間外労働がほぼ毎月140時間だったほか、年間の勤務日数が「356日」、うち349日は連続出勤だった。男性は仁和寺を相手に慰謝料などを求めて提訴。2016年、京都地裁は男性の訴えを認め、約4200万円の支払いを命じた。

▼ディスグランデ介護(茶話本舗FC企業)

大手デイサービス「茶話本舗」のフランチャイズ店舗。今年、従業員に対する賃金未払いなどを理由に労基署から是正勧告があった。人手が不足しており、休憩時間がほとんど取れない状態だった。サービス残業など劣悪な労働環境も報告されている。

▼日本郵便

2011年以降、パワハラを理由にした自殺が相次いだ。2016年10月福岡高裁は、心疾患で亡くなった男性社員について、死亡との因果関係は認めなかったものの、上司からのパワハラがあったとして、同社に330万円の支払いを命じた。

(弁護士ドットコムニュース)

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