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生活保護法、日弁連が改正案を批判「生存権を侵害する重大な危険をはらむ」
2018年05月09日 18時13分

日弁連は5月9日の定例記者会見で、厚労省に宛てて、4月下旬に衆議院を通過した「生活保護法改正案」に反対する意見書(5月2日付)を送付したと発表した。改正案について、「生活保護利用者の生存権を侵害する重大な危険をはらむもの」と批判している。

改正案には、受給世帯の子どもが大学に進学する際の一時金支給などが盛り込まれた。このうち、日弁連が問題としているのは、「費用返還義務」(同法63条)で生じる自治体の徴収に関する部分だ。

日弁連は5月9日の定例記者会見で、厚労省に宛てて、4月下旬に衆議院を通過した「生活保護法改正案」に反対する意見書(5月2日付)を送付したと発表した。改正案について、「生活保護利用者の生存権を侵害する重大な危険をはらむもの」と批判している。

改正案には、受給世帯の子どもが大学に進学する際の一時金支給などが盛り込まれた。このうち、日弁連が問題としているのは、「費用返還義務」(同法63条)で生じる自治体の徴収に関する部分だ。

●改正案では徴収強化 破産・免責手続きでも徴収、天引きも可能

生活保護法63条が定める「費用返還義務」は、「急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたとき」に生じる。具体的には、福祉事務所のミスによる「払いすぎ」のほか、受給開始後に不動産などすぐには売れないものが売れた場合などがあたる。

改正案は返還義務部分について、「国税徴収の例により徴収することができる」(改正案77条の2第2項)、つまり破産・免責手続きをしても支払わなくてはならず、生活保護費からの天引き(改正案78条の2)も可能にしている。

一方、日弁連によると厚労省が発出する「生活保護手帳 別冊問答集」では、自立更生に資する使途であれば、柔軟に返還免除が認められるとされており、全額返還を違法とする裁判例も多数存在するという。

会見した森弘典弁護士は「本人に不正がない場合も返還を強いられることになりかねない」と懸念を示した。

(弁護士ドットコムニュース)

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