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ベトナム人実習生に「有給取るなら帰れ」、強制帰国は規制の抜け穴…弁護士「制度が不十分」
2018年04月22日 08時43分

横浜市の水産加工業者で技能実習生として働いていたベトナム人男性(27)が、男性の受け入れ窓口となった監理団体に有給休暇を取りたいという希望を伝えたところ、強制帰国させられたと共同通信などが報じた。

報道によると、男性は2017年3月から勤務。契約書では勤務を始めてから半年が経てば10日間の年次有給休暇が取得できるとされていたという。実習制度に詳しい高井信也弁護士に今回の問題点を聞いた。

横浜市の水産加工業者で技能実習生として働いていたベトナム人男性(27)が、男性の受け入れ窓口となった監理団体に有給休暇を取りたいという希望を伝えたところ、強制帰国させられたと共同通信などが報じた。

報道によると、男性は2017年3月から勤務。契約書では勤務を始めてから半年が経てば10日間の年次有給休暇が取得できるとされていたという。実習制度に詳しい高井信也弁護士に今回の問題点を聞いた。

●「強制帰国」あとを絶たず

ーー問題点を教えてください

「本件のような有給休暇の請求のほか、未払い賃金の請求や労働災害で負傷したこと等を契機とした強制帰国は後を絶ちません。

このような強制帰国は、暴行、脅迫等の強制的手段が用いられた場合には、略取・誘拐や強要罪に該当し得る犯罪行為です。しかし、2017年11月から施行された技能実習法では、技能実習生に対する強制労働等の人権侵害行為等については禁止規定や罰則が設けられたものの、強制帰国はその対象外となっています。

滞在期限途中で帰国する実習生に対し、空港等の出国審査の窓口で、帰国の意思を確認する運用も始まってはいますが、実習生の中には、受入れ企業から監理団体の施設に移動され、就労することも外部からの助力を得ることもできず、あきらめて『自主的に』帰国する者もおり、規制は不十分です」

ーー技能実習生の労働者としての権利は十分尊重されているのでしょうか

「そうは言えないのが実態です。そもそも技能実習制度は、技能移転による国際貢献との制度目的が形骸化しており、実質的には非熟練・低賃金労働者の受入れ制度となっています。

そして、制度上、受入れ企業が固定されているため技能実習生が従属的な立場となり易く、技能実習生の労働者としての権利を尊重する意識に乏しい受入れ企業や監理団体も少なくありません。本件でも、本来、実習生を保護すべき監理団体が、有給休暇の請求という労働者の基本的権利を無視した背景には、制度の構造的問題が存在するのではないでしょうか」

(弁護士ドットコムニュース)

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