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命知らずな自転車、トラック真後ろで「風よけ走行」 急ブレーキで事故、どっちが悪い?
2020年06月26日 10時01分

夜間の道路を走るトラックの真後ろに、ロードバイクがピタリと張り付いて走行する様子がとらえられました。映像がツイッターに投稿(6月6日)されると、自転車に対して「危ないのでは」「あおり運転」などと指摘する意見が集まっています。

6月9日には、自転車のあおり運転を「危険行為」と想定する改正道交法施行令(6月30日施行)が閣議決定したばかり。自動車のあおり運転は社会問題になっていますが、自転車を運転する際も意識を変える必要がありそうです。

夜間の道路を走るトラックの真後ろに、ロードバイクがピタリと張り付いて走行する様子がとらえられました。映像がツイッターに投稿(6月6日)されると、自転車に対して「危ないのでは」「あおり運転」などと指摘する意見が集まっています。

6月9日には、自転車のあおり運転を「危険行為」と想定する改正道交法施行令(6月30日施行)が閣議決定したばかり。自動車のあおり運転は社会問題になっていますが、自転車を運転する際も意識を変える必要がありそうです。

●トラックは目と鼻の先

目撃されたのは6月6日の午後8時半ころでした。張り付く様子に驚いたという撮影者は、取材に「雨の日に国道357号線を東京から千葉方面に走っていたらトラックの後ろに自転車がおり思わず撮影してしまいました」と話します。

「メーターを見たところ55キロ程スピードが出ており更にびっくりした反面、このあとの合流で車にぶつかったりしたら危険だろうなと思って見ていました」

自転車を漕ぎながら、車両の後ろに張り付くことによって、風の抵抗を大幅に減らすことができます。疲労軽減のため、大型車の後ろにつけるロードバイクを見かけることもしばしばあります。本件の自転車も「風よけ」や「雨よけ」を目的としていたのかもしれません。

しかし、動画には「車間距離不十分」、「前のトラックが急にブレーキをかけたらどうするんでしょう」などの指摘が寄せられています。また、トラックに対する自転車の「あおり運転」ではないのかとの声もあります。中川龍也弁護士に聞きました。

●トラックの背後に接近して走る自転車は「あおり運転」に該当することになる

ーー自転車の運転者の行為は、道交法違反(26条 車間距離の保持)などに該当しうるでしょうか。

はい。自転車も、道路交通法上の「車両」に該当しますので、車間距離の保持等、道路交通法上の義務を負います。

ーー改正道交法施行令において、上記の行為は「あおり運転」に該当する可能性がありますか。

自転車の運転に関し一定の違反行為(危険行為)を3年以内に2回以上行った者に対し、都道府県公安委員会が講習の受講を命ずる自転車運転者講習制度では、信号無視、酒酔い運転等、14の違反項目が規定されていました。受講しないと5万円以下の罰金と定められています。

今回の改正法により、この14項目に「あおり運転」が加えられることとなりました。施行前も「あおり運転」に該当する一部違反行為については、講習制度の対象となっていましたが、今回の改正により、「あおり運転」の具体的態様が規定されました。

あおり行為は自転車では7類型の違反が定められており、通行区分違反(逆走の禁止)、急ブレーキ禁止違反(不必要な急ブレーキ)、進路変更禁止違反、追い越し違反(急な進路変更や無理な追い越し行為)や、今回の車間距離の不保持(後方からの異常接近行為)も「あおり運転」に該当することとなりました。

●事故を起こした自転車側に厳しい過失割合が認められる可能性もある

ーー前方のトラックが急停止して、事故になった場合の責任の考え方を教えてください。

自転車が自動車やトラックに追突する事案において、「本件事故の主たる原因は自転車運転者にあった」ことを認め、50パーセントの過失を認めた裁判例があります。

また、加害車(普通貨物自動車)が自車前方を斜めに横切る形で進路変更した被害車(自転車)に衝突し、被害車運転者が傷害を負った事故において、自転車運転者に20パーセントの過失を認めた裁判例もありますし、それ以上の過失が認められる事案もあります。

自動車、トラックと自転車の事故の場合、多くは自転車運転者が怪我をされることが多いため、裁判所は、自転車の過失割合を比較的小さく認定する傾向がありますが、道路交通法が改正される等、自転車運転者にも道路交通法上の注意義務が加重されている今、更に自転車運転者側に厳しい過失割合が認められる可能性もあります。

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