11925.jpg
「危険手当つかない」「ピンハネ構造を明らかに」 福島第一原発作業員が東電を提訴
2014年09月03日 19時55分

福島第一原発の事故処理にあたる現役作業員と元作業員、計4人が9月3日、「危険手当や残業代が支払われていない」として、東京電力と下請業者16社に約6200万円の損害賠償を求める訴えを、福島地裁におこした。

現役作業員の原告男性(50代)は、同日午後、東京・霞が関で記者会見を開き、「(月給)手取り20万円いくかいかないか。危険手当は一切ついていない」「(下請業者は)口利きするだけで危険手当を抜いている。東電を含めて改めてもらいたい」と、怒りを噛みしめるように話した。

福島第一原発の事故処理にあたる現役作業員と元作業員、計4人が9月3日、「危険手当や残業代が支払われていない」として、東京電力と下請業者16社に約6200万円の損害賠償を求める訴えを、福島地裁におこした。

現役作業員の原告男性(50代)は、同日午後、東京・霞が関で記者会見を開き、「(月給)手取り20万円いくかいかないか。危険手当は一切ついていない」「(下請業者は)口利きするだけで危険手当を抜いている。東電を含めて改めてもらいたい」と、怒りを噛みしめるように話した。

●「保険に入れず、ケガを治療できない人もいる」

この男性は、「作業員のなかには保険に入れず、ケガをしても治療できない人がいる。住むところがなくなっても、我慢して従事しようとしている人もいる」と話し、現場の下請け作業員の置かれている、苦しい現状を訴えた。

会見に出席した元作業員の原告男性(60代)は、「周りを見ると自分は恵まれているほうだったが、同じ現場にいた人でも、(下請)業者が違うだけで収入差があった」と、労働条件が下請けによって大きく違ったことを強調した。

さらに、「危険手当はなぜ末端の作業員に行き渡らないのか。声に出したくても出せずに、陰で泣いている人がいる。その人たちのためにも、おせっかいながら、代わりに言ってあげようかな」と、原告に加わった動機を述べた。

●「ピンハネの構造を明らかにしたい」

原発作業員の人件費をめぐっては、以前から、下請業者による「ピンハネ」が問題視されている。東電は2013年、元請業者に支払う額を1日あたり1万円増やす方針を発表したが、原告側の弁護団によると、下請構造が多重化しているため、東電が元請業者に払っているはずの人件費が作業員に行き届いていないという。

弁護団の海渡雄一弁護士は、「非常に高い被ばくにさらされている作業員に、きちんと手当が支払われていないのは社会的正義にもとる」と強調。「作業員に危険手当が行きわたるように監督する責任が東電にある」としたうえで、今回の裁判を通して「ピンハネの構造を明らかにしたい」と話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る