11930.jpg
みのさん「テレビ出演自粛」 親はいつまで「子どもの責任」を負うべきなのか?
2013年09月24日 21時15分

TBSの朝の情報番組「みのもんたの朝ズバッ!」から、「主」の姿が消えた。司会者のみのもんたさんが出演を自粛しているためだ。これは、テレビ局に勤めるみのさんの次男が、窃盗未遂の疑いで逮捕されたのを受けたものである。

みのさんは、逮捕当日の9月11日に「次男が世間をお騒がせしていることについて、父親として申し訳ない気持ちでおります」というコメントを発表。その2日後には、「報道に携わる人間として、その公正を守る意味でも報道番組への出演を自粛させていただくことにしました」と、「朝ズバッ!」の出演自粛を明らかにした。

事件をきっかけに、週刊誌などではみのさんへのバッシングが広がっているが、親が子どもの不祥事の責任をとる形になっていることについて、異論を唱える人もいる。たとえば、歌手の和田アキ子さんはテレビ番組のなかで、「こういう時にいつも親が責任とるの?」と疑問を口にした。

逮捕された次男は31歳で、テレビ局で働く社会人だ。このような20歳をすぎている子どもについても、親の法的責任というのはあるのだろうか。秋山直人弁護士に聞いた。

●出演自粛は、法的責任によるものではない

「刑事でも民事でも、成年に達した子が犯罪を犯し、他人に損害を与えたからといって、親が親であるというだけで法的責任を問われることはありません」

このように秋山弁護士はズバッと言う。

「親が子どもの犯罪行為をそそのかしたり、手助けしたりした場合には共犯者としての責任を問われることがありますが、それは親でなくても同じです」

つまり、親族ではない他人と、基本的には同じような立場ということだ。では、なぜテレビ出演を自粛しているのか。

「今回、みのもんたさんが情報番組への出演を自粛したのは、法的責任によるものではなく、犯罪報道も取り扱う情報番組の司会者役として、視聴者から求められるイメージにそぐわない事態になってしまったという判断ではないかと思います」

●今回の事件をめぐる報道には疑問がある

こう述べつつ、秋山弁護士は、みのさんの次男の逮捕をめぐる報道について、問題点を指摘する。

「被疑者本人は否認しているようであり、犯人と決め付ける報道には問題があります。

また、黙秘していることや調書への署名を拒否していることが批判的に報じられているようですが、黙秘も調書への署名拒否も被疑者の権利であり、それをもって『反省していない』といった報道には疑問があります。

まして、そうした被疑者の行動をもって、親であるみのもんたさんをバッシングするのは、筋が違うように思います」

「無罪推定の原則」からすれば、逮捕されたからといって、有罪が決まったわけではない。ましてや、今回は被疑者が否認をしている事件だ。有名人の家族ということでマスコミが加熱しているが、本来であれば、もっと慎重に報道すべきなのだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

TBSの朝の情報番組「みのもんたの朝ズバッ!」から、「主」の姿が消えた。司会者のみのもんたさんが出演を自粛しているためだ。これは、テレビ局に勤めるみのさんの次男が、窃盗未遂の疑いで逮捕されたのを受けたものである。

みのさんは、逮捕当日の9月11日に「次男が世間をお騒がせしていることについて、父親として申し訳ない気持ちでおります」というコメントを発表。その2日後には、「報道に携わる人間として、その公正を守る意味でも報道番組への出演を自粛させていただくことにしました」と、「朝ズバッ!」の出演自粛を明らかにした。

事件をきっかけに、週刊誌などではみのさんへのバッシングが広がっているが、親が子どもの不祥事の責任をとる形になっていることについて、異論を唱える人もいる。たとえば、歌手の和田アキ子さんはテレビ番組のなかで、「こういう時にいつも親が責任とるの?」と疑問を口にした。

逮捕された次男は31歳で、テレビ局で働く社会人だ。このような20歳をすぎている子どもについても、親の法的責任というのはあるのだろうか。秋山直人弁護士に聞いた。

●出演自粛は、法的責任によるものではない

「刑事でも民事でも、成年に達した子が犯罪を犯し、他人に損害を与えたからといって、親が親であるというだけで法的責任を問われることはありません」

このように秋山弁護士はズバッと言う。

「親が子どもの犯罪行為をそそのかしたり、手助けしたりした場合には共犯者としての責任を問われることがありますが、それは親でなくても同じです」

つまり、親族ではない他人と、基本的には同じような立場ということだ。では、なぜテレビ出演を自粛しているのか。

「今回、みのもんたさんが情報番組への出演を自粛したのは、法的責任によるものではなく、犯罪報道も取り扱う情報番組の司会者役として、視聴者から求められるイメージにそぐわない事態になってしまったという判断ではないかと思います」

●今回の事件をめぐる報道には疑問がある

こう述べつつ、秋山弁護士は、みのさんの次男の逮捕をめぐる報道について、問題点を指摘する。

「被疑者本人は否認しているようであり、犯人と決め付ける報道には問題があります。

また、黙秘していることや調書への署名を拒否していることが批判的に報じられているようですが、黙秘も調書への署名拒否も被疑者の権利であり、それをもって『反省していない』といった報道には疑問があります。

まして、そうした被疑者の行動をもって、親であるみのもんたさんをバッシングするのは、筋が違うように思います」

「無罪推定の原則」からすれば、逮捕されたからといって、有罪が決まったわけではない。ましてや、今回は被疑者が否認をしている事件だ。有名人の家族ということでマスコミが加熱しているが、本来であれば、もっと慎重に報道すべきなのだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る