12.jpg
「2週間で再収容はおかしい」 ハンストの外国人収容者、国連に「人権侵害」申し立て
2019年10月10日 13時23分

法務省の施設で、在留資格のない外国人の収容が長期化している問題に対して、ハンガーストライキで抗議していた外国人2人が10月10日、仮放免から2週間で再収容されたことが「人権侵害」にあたるとして、国連の作業部会に申し立てた。入管問題に取り組む有志の弁護士グループが同日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いて、明らかにした。

法務省の施設で、在留資格のない外国人の収容が長期化している問題に対して、ハンガーストライキで抗議していた外国人2人が10月10日、仮放免から2週間で再収容されたことが「人権侵害」にあたるとして、国連の作業部会に申し立てた。入管問題に取り組む有志の弁護士グループが同日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いて、明らかにした。

●ハンストで餓死者も

現在、法務省・出入国在留管理庁の施設では、在留資格のない外国人の収容が長期化している。全国の施設で、食事をとらない「ハンガーストライキ」で抗議をおこなっている収容者が急増しているほか、今年6月には餓死する人もあらわれている。

記者会見を開いた弁護士グループによると、ハンガーストライキで著しく体重が減少した収容者は、一時的に身体を解放される「仮放免」となるが、その後、わずか2週間程度で再び収容されているという。

今回の通報者であるトルコ人のデニズさんはハンストの影響で、体重が74キロから63キロまで減少した。精神疾患の診断を提出したが、2週間(8月2日〜16日)で再収容されたという。

また、もう1人の通報者、イラン人のサファリさんは、体重86キロから64.9キロまで減少した。うつ病や不眠症消化性食道炎や十二指腸潰瘍の疑いがあるという診断書をもっていったが、2週間(7月31日〜8月14日)で再収容されたという。

●「収容されている人も人間扱いしてほしい」

今回、外国人2人が申し立てた国連の「恣意的拘禁ワーキンググループ」は、人権状況・侵害の監視や検証をおこなう作業部会だ。個人から通報を受けて、現地訪問や当事者のヒアリングなど、調査をおこなったうえで、意見書をまとめることになっている。

国際人権規約などによると、入国管理における身体拘束は、(1)最終的な手段であること、(2)最低限の期間であること、(3)裁判所による判断があること、(4)合理性、必要性、相当性がみとめられること――などがもとめられている。

弁護士グループによると、日本の入管収容(退去強制令書によるもの)は、法律上、期限のさだめがなく、裁判所による判断も入らない。さらに、法務省が、収容には「必要性・相当性を問わない」という方針であるため、収容の長期化が起きているという。

会見した鈴木雅子弁護士は「外国人を狙い撃ちにして、非人道的な取り扱いをしている。そして、国際人権規約でもとめられている『恣意的収容の禁止』に日本の実務はことごとく反している。収容されている人も同じ人間であることを認めて、人間扱いしてほしい」と話した。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る