12042.jpg
西城秀樹さん追悼、みんなで「YMCA」を踊りたい…著作権は大丈夫?
2018年05月26日 10時36分

「傷だらけのローラ」などのヒット曲で知られる歌手の西城秀樹さんが5月16日、63歳で死去。25日の通夜には、関係者1500人、ファン2500人が参列した。

西城さんは16歳でデビュー以来、歌手として活躍してきた。1970年代には郷ひろみさんや野口五郎さんとともに「新御三家」と呼ばれ、幅広いファンに親しまれた。

そんな西城さんの名曲で忘れられないのが、1979年にヒットした「YOUNG MAN」。歌いながら「Y・M・C・A」と大きな手振りで踊るあの振り付けは、報道によると西城さん自身の発案だという。人気グループ「GENERATIONS from EXILE TRIBE」が昨年12月、「YOUNG MAN」をカバーした際にも、しっかりと「Y・M・C・A」の振り付けは踏襲されていた。

多くの人が一度は歌って踊ったことのある歌と振り付けだが、歌には歌詞や曲に著作権があることがよく知られている。では、振り付けにも著作権はあるのだろうか。また、あの「Y・M・C・A」は、誰でも著作権を気にせず踊ることができるのだろうか。著作権にくわしい高木啓成弁護士に聞いた。

「傷だらけのローラ」などのヒット曲で知られる歌手の西城秀樹さんが5月16日、63歳で死去。25日の通夜には、関係者1500人、ファン2500人が参列した。

西城さんは16歳でデビュー以来、歌手として活躍してきた。1970年代には郷ひろみさんや野口五郎さんとともに「新御三家」と呼ばれ、幅広いファンに親しまれた。

そんな西城さんの名曲で忘れられないのが、1979年にヒットした「YOUNG MAN」。歌いながら「Y・M・C・A」と大きな手振りで踊るあの振り付けは、報道によると西城さん自身の発案だという。人気グループ「GENERATIONS from EXILE TRIBE」が昨年12月、「YOUNG MAN」をカバーした際にも、しっかりと「Y・M・C・A」の振り付けは踏襲されていた。

多くの人が一度は歌って踊ったことのある歌と振り付けだが、歌には歌詞や曲に著作権があることがよく知られている。では、振り付けにも著作権はあるのだろうか。また、あの「Y・M・C・A」は、誰でも著作権を気にせず踊ることができるのだろうか。著作権にくわしい高木啓成弁護士に聞いた。

●ダンスの振り付けにも「著作権」認める裁判例

そもそも、ダンスの振り付けには「著作権」は認められている?

「ダンスの振り付けにも著作権は認められます。著作権法では、著作物の例として、『舞踏』をあげていますし、バレエ作品の振り付けや日本舞踏の振り付けについて、著作権を認めた裁判例もあります」

ただし、「振り付け」全てに著作権が認められているわけでもなさそうだ。高木弁護士は続ける。

「たとえば、映画『Shall we ダンス?』をめぐる裁判では、映画で踊られた社交ダンスの振り付けに、著作権が認められませんでした。裁判所は判決で、次のような判断を示しました。

《社交ダンスの振り付けは、既存のステップを組み合わせ、これに適宜アレンジを加えるなどして一つの流れのあるダンスを作り出すことであるので、著作物性が認められるためには、単なる既存のステップの組み合わせにとどまらない顕著な独創性が必要である》」

●学園祭などで自由に踊ることは無問題だが…

では、大勢の人たちに愛されている西城秀樹さんの代表曲「YOUNG MAN」の中で有名な「Y・M・C・A」の振り付けに著作権は認められるのだろうか。

「『Y・M・C・A』のアルファベットを両手で表現する振り付けは、顕著な独創性があるとして著作権が認められる可能性もあります。他方、この振付はアイディアに留まり、思想・感情の表現とはいえないとして著作権が認められない可能性もあると思います。微妙なケースだと思います」

もしも、「Y・M・C・A」に著作権が認められる場合は、無断で踊ると著作権侵害になってしまう?

「学園祭など、非営利で料金を徴収せず、出演者にも報酬を支払わない場合は、著作権が及びませんので、自由に歌ったり踊ったりすることができます。しかし、そうでない場合は注意が必要です。

なお、振り付けの著作権は、楽曲の著作権とは別物です。振り付けについては楽曲とは別に、著作権者の許諾を得る必要があります」

では、この場合の「著作権者」は誰になるのだろうか?

「著作権者については、振付師からレコード会社に著作権が譲渡されていれば著作権者はレコード会社ですが、きちんとした契約がなされていない場合もあるようです。ですので、著作権者が誰であるかは事案によります」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る